第58回実技1 問2

(1)

時間ごとのトラフの位置を解析していく問題です。

初期時刻には、Aのトラフは5460m~5640m付近、Bのトラフは5220mから5460m付近にあります。12時間後についてもこのぐらいの高度で、それぞれ経度10°ぐらい東側に等高度線の曲率が大きい部分や正渦度極大域がないかを探してみます。

Aのトラフに関しては、東経143°付近に+443と書かれた正渦度極大点があり、等高度線も下に凸となるような曲率をもっています。また破線で示される等渦度線の尾根に沿って湾曲してトラフを解析します。+166の正渦度極大点を通しながら、強風軸である渦度の0ラインまでトラフを解析することができると思います。

Bのトラフに関しては、東経134°付近で5160mの等高度線が下に凸となっていますので、そこから曲率が大きい等高度線を渦度の0ラインまで結んでいくと上のようにトラフを解析できます。

続いて24時間後のBのトラフの位置です。こちらも12時間後からさらに東側に進んでいることに留意すると、北緯42°、東経148°付近に+254の正渦度極大点があり、そこから南東方向に等高度線が大きな曲率をもっていることがわかります。この曲率の軸に沿って上の図のようにBのトラフを解析することができます。正渦度域が広いためトラフを伸ばすかですが、トラフのすぐ西側の5280m付近に渦度0ラインがあります。そのあたりに強風軸を解析することができますので、トラフ終端はそのあたりまでとなります。

解答図にまとめますと以下のようになります。

人によって多少の解析誤差はあると思われるので、ある程度の許容範囲はあると思います。

(2)

①15日21時までの12時間の移動方向は北東です。

②16日9時までの12時間の移動方向は少し東に触れていますが、16方位ではです。

③15日21時までの12時間の移動速度についてですが、地図上で33mm移動しています。北緯30°から40°の600海里の地図上の距離が38mmであることから、実際の低気圧の移動距離は、

600海里×33mm/38mm=521海里となります。

12時間で521海里移動する速度は521海里/12時間=43.4ノットとなります。5ノット単位では45ノットとなります。

④同様にして、16日9時までの12時間の移動速度を求めます。まず低気圧の移動距離は

600海里×22mm/34mm=388海里となります。

移動速度は388海里/12時間=32.3ノットとなり、5ノット単位では、30ノットとなります。

⑤初期時刻から15日21時までの中心気圧の変化量です。初期時刻の中心気圧は図1から990hPaでした。

15日21時の中心気圧ですが、980hPaの太線の内側にさらに4本の等圧線がありますので964hPaであることがわかります。このとき976hPaの等圧線から数えはじめると、どの等圧線が976hPaを指しているのかを読み間違えるので、20hPaごとの太線から数えはじめるとよいでしょう。

990hPaから964hPaまで気圧が変化しているので、気圧変化量は符号をつけて-26hPaとなります。

同様にして太線の960hPaから3本の等圧線があるので、中心気圧は948hPaとなります。964hPaから948hPaに変化しているので、変化量は、-16hPaとなります。

(3)

15日21時の低気圧とトラフAの距離については、問題文の指示通り、ほぼ同位置である(計算をすれば求められますが、100km刻みの距離が0km)ので同位置とします。

トラフBについては、地図上で低気圧の27mm西にありますので、北緯30°から40°の距離1111kmの地図上の距離が38mmであることを利用して、実際の低気圧のトラフBの距離は1111km×27mm/38mm=789kmとなります。100km単位ではトラフBは低気圧の800km西にあることになります。

これらをまとめますと

低気圧はトラフAと同位置、トラフBの東800kmにある。(28字)

気象業務支援センターの解答は低気圧を主語にしていますが、トラフが主語でも正解となるでしょう。

(4)

低気圧の発達とトラフの関係といえば、低気圧の西側にトラフがあるときに、低気圧が発達するという背景があります。これを念頭におき解答を作りましょう。

12時間後のトラフと低気圧を、24時間後をとしています。初期時刻は黒です。初期時刻には低気圧の西側にトラフAがありますが、12時間後にはトラフAは低気圧のほぼ真上付近に移動し、トラフBが低気圧の西側に近づいてきます。24時間後にはさらにトラフBが低気圧に近づいてきます。

つまり、初期時刻から12時間後には低気圧はトラフAの前面で発達し、12時間後から24時間後にかけては、トラフAの影響はなくなり、西から近づいてきたトラフBの前面で発達していくこととなります。

これらをまとめますと

初めの12時間はトラフAの進行前面で発達し、その後の12時間はトラフBの進行前面で発達する。(46字)

(5)

①②初期時刻において等温線が集中している領域が東北東から西南西に伸びています。

③④15日21時には、等温線集中帯の方向は北北東南南西方向となります。

⑤⑥初期時刻にはほぼ直線に東北東から西南西に伸びている等温線が、15日21時には日本海北部付近でくの字に折れているのがわかります。これは日本海北部付近を軸に反時計回りに回転していることによります。

⑦低気圧が北から北東方向に進んでいることから、等温線集中帯は低気圧中心から見て左前方に位置します。

⑧15日9時には等温線集中帯と低気圧の距離は縮まっています。

⑨低気圧の南西象限で、北西の寒気移流があり等温線が張り出しているため、寒気が流入しているのがわかります。