3-1 十種雲形:見分け方のコツから試験に出る特徴まで徹底解説!【気象予報士試験対策】

空を見上げると、形も大きさもバラバラに見える「雲」。一見すると無限の種類があるように思えますが、実は世界共通のルールで10種類に分類されています。これを「十種雲形(じっしゅうんけい)」と呼びます。

気象予報士試験では、学科試験だけでなく実技試験でも超頻出のテーマです。

単に名前と特徴を丸暗記するのではなく、いつも見ている雲を見分けられるように楽しくマスターしていきましょう!


1. 雲を分類する2つの基準:「高さ」と「形」

10種類の雲は、勝手に決められたわけではありません。「発生する高さ(およそ3段階)」「雲の形(2パターン)」という2つの基準の組み合わせで分類されています。

高さによる分類(上・中・下)

  • 上層雲: 高度5km〜13km付近。非常に寒いため、雲は「氷の結晶(氷晶)」でできています。
  • 中層雲: 高度2km〜7km付近。「水滴と氷晶」が混ざり合っています。
  • 下層雲: 高度2km以下。主に「水滴」でできています。

形による分類(層状・対流)

  • 層状雲: 横に広く、ベールや層のように広がる雲。空気の澄んだ安定した上昇気流でできます。
  • 対流雲: 縦(鉛直)にモコモコと発達する雲。大気が不安定なときの強い対流でできます。

2. 上層雲(5km〜13km付近)

一番高い空にできる雲です。気温がマイナス数十度という極寒の世界にあるため、すべて「氷の粒」でできており、白く透き通った美しさが特徴です。

① 巻雲 (Cirrus: Ci) — 別名:すじ雲、はね雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 筆でサッと描いたような、白く細い繊維状の雲です。
  • 天気: 晴天の日によく見られますが、低気圧が接近する「一番最初」に現れる雲でもあるため、天気が下り坂に向かうサインになることも

② 巻積雲 (Cirrocumulus: Cc) — 別名:うろこ雲、いわし雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 小さな白い粒が、魚のうろこのようにびっしりと敷き詰められた雲です。
  • 見分け方: 後述する「指1本分の幅」よりも、さらに一つ一つの粒が小さく見えます。影ができないのも特徴です。

③ 巻層雲 (Cirrostratus: Cs) — 別名:うす雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 空全体を薄い白いベールで覆ったような雲です。
  • 見分け方: 太陽や月の周りに「ハロ(暈・かさ)」と呼ばれる光の輪が現れるのが最大の特徴です。氷の結晶がプリズムの役割をして光を曲げるために起こります。
  • 天気: 「太陽に輪がかかると雨」ということわざ通り、前線や低気圧が近づいている証拠なので、翌日に天気が崩れることが多いです。

3. 中層雲(2km〜7km付近)

中間層にある雲で、水滴と氷晶がミックスされています。上層雲に比べて雲が厚くなり、影ができるようになります。

④ 高積雲 (Altocumulus: Ac) — 別名:ひつじ雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 羊の群れのように、大きな白い塊が並んだ雲です。
  • 見分け方: 巻積雲(うろこ雲)とそっくりですが、こちらの方が「粒が明らかに大きい」です。

⑤ 高層雲 (Altostratus: As) — 別名:おぼろ雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 灰色または薄墨色のベール状の雲で、空全体を覆います。
  • 見分け方: 巻層雲(うす雲)との最大の違いは、太陽が「すりガラス」を通したようにぼんやりとしか見えない点です。また、雲が厚いためハロ(暈)はできません

⑥ 乱層雲 (Nimbostratus: Ns) — 別名:雨雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 暗い灰色をした、空全体を覆う分厚い雲です。太陽の光を完全に遮るため、昼間でも暗くなります。
  • 天気: 本格的な雨や雪を降らせる代表選手です。しとしとと広範囲に、長く降り続く雨をもたらします。
  • 試験ポイント: 実技試験の事例解析などで「持続的な降水域」を指摘する場合、この乱層雲が広がっているエリアを探すことになります。

4. 下層雲(2km以下)

地面に最も近い雲です。水分を多く含んだ重い水滴でできているため、濃い灰色やはっきりとした輪郭を持ちます。

⑦ 層積雲 (Stratocumulus: Sc) — 別名:くもり雲、うね雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 曇りの日に一番よく見かける、大きな塊やロール状が重なり合った低い雲です。
  • 試験ポイント: 世界中、そして日本国内でも「最も観測頻度が高い(一番よく出る)」雲です。

⑧ 層雲 (Stratus: St) — 別名:霧雲(きりぐも)

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 最も低い場所にできる、霧のような一様な灰色の雲です。山にかかっているときは、地上にいる人にとっては「霧」そのものです。
  • 天気: 降っても「霧雨(きりさめ)」程度で、強い雨にはなりません。

⑨ 積雲 (Cumulus: Cu) — 別名:わた雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 晴れた日の昼間にプカプカと浮かぶ、綿菓子のような雲です。
  • 試験ポイント: 地面が太陽で暖められてできる上昇気流(対流)によって発生するため、「雲の底が平ら」で「頭がモコモコ」しています。夕方になって地面が冷えると、自然と消えていくことが多いです。

⑩ 積乱雲 (Cumulonimbus: Cb) — 別名:入道雲、雷雲

引用元:気象庁HP
  • 特徴: 積雲がもの凄く凶暴に発達した、いわば「雲の王様」です。
  • 天気: 激しい雨(短時間強雨)、雷、突風(ダウンバースト)、ひょう、竜巻など、あらゆる気象災害を引き起こします。
  • 試験ポイント: 雲のてっぺんが対流圏の限界(対流圏界面)に達すると、それ以上上にいけず横に広がります。これを「かなとこ雲」と呼び、実技試験の衛星画像解析でも非常に重要な目印となります。航空機にとっても最も危険な雲です。

5. いつもの雲を見分ける方法(視角度)

「巻積雲(うろこ雲)」「高積雲(ひつじ雲)」「層積雲(くもり雲)」の見分け方です。写真だけ見るとどれも似たような塊に見えますよね。

気象庁の正式な観測基準では、「手をまっすぐ伸ばしたときの、指の幅(視角度)」で明確に区別されています。これが分かると、試験問題も実物の空も一発で見分けられます!

  • ① 巻積雲(うろこ雲):小指の幅(視角度1度)未満
  • 腕をいっぱいに伸ばして小指を立てたとき、雲の粒が小指の幅にすっぽり隠れるくらい小さければ「巻積雲」です。
  • ② 高積雲(ひつじ雲):指1本〜3本の幅(視角度1度〜5度)
  • 腕を伸ばして、人差し指・中指・薬指の3本を立てた幅の間に収まるサイズ感なら「高積雲」です。
  • ③ 層積雲(くもり雲):指3本の幅(視角度5度)以上
  • 雲の塊が明らかに大きく、指3本の幅からはみ出すようであれば、一番低いところにある「層積雲」です。

6. 【まとめ】十種雲形の試験対策チェック表

最後に、試験直前の知識整理用に、10種の雲の特徴を1枚の表に凝縮しました。

略号日本語名発生する高さ雲の主成分最大の判別ポイント・試験のツボ
Ci巻雲上層氷晶すじ状、影がない、ジェット気流の指標
Cc巻積雲上層氷晶うろこ状、粒が一番小さい(<1度)
Cs巻層雲上層氷晶ベール状、「ハロ(暈)」が発生する
Ac高積雲中層水滴/氷晶ひつじ状、粒が中くらい(1〜5度)、影あり
As高層雲中層水滴/氷晶「すりガラス状」の太陽、ハロは出ない
Ns乱層雲中層水滴/氷晶厚い暗灰色、広範囲に長く降る雨の主役
Sc層積雲下層水滴大きな塊(>5度)日本で最も観測される雲
St層雲下層水滴霧のよう、もっとも低い、降っても霧雨
Cu積雲下層(鉛直)水滴わた雲、底が平ら、日射による対流で発生
Cb積乱雲下層(鉛直)水滴/氷晶雷・ひょう・突風、頂上は「かなとこ雲」になる

雲の分類問題が出たら、まずは「上・中・下」のどこにいるか、そして形の特徴(ハロの有無や粒の大きさ)を思い浮かべて消去法でアプローチするのがコツです。

毎日の通勤・通学路で実際の空を観察してみるのも、実技試験のイメージ力を鍛えるおすすめの方法ですよ!