7-1 台風の基本:暴風域や強風域、予報円とは?【気象予報士試験対策】

台風情報は防災上きわめて重要であり、ニュースで使われる用語はすべて厳密に定義されています。
「なんとなく風が強そう」「気圧が低いから台風」といった感覚的なものではなく、具体的な数値基準で区別されています。学科試験だけでなく、実技試験でも頻繁に問われる基礎知識なので、数値をしっかり暗記しましょう。


1. 台風の定義

以下の3つの条件をすべて満たすものを「台風」と呼びます。

  • 種類: 熱帯低気圧であること。※温帯低気圧は「前線」を伴いますが、熱帯低気圧は前線を伴いません。
  • 場所: 北西太平洋 または 南シナ海 に存在すること。※東経180度より東や大西洋にある場合は「ハリケーン」、インド洋にある場合は「サイクロン」と呼ばれます(現象の構造は同じです)。
  • 風速: 低気圧域内の最大風速(10分間平均)が、およそ 17.2m/s(34ノット)以上 であること。

【試験のポイント】

  • 風速の測り方: 「最大瞬間風速」ではなく、「10分間平均の最大風速」で判断します。
  • 気圧は無関係: 基準の風速を超えていれば、中心気圧が1000hPaであっても台風です。(「中心気圧が〇〇hPa以下になったら台風と呼ぶ」という選択肢は誤りです)。

2. 暴風域と強風域・予報円

台風のニュースでよく見る「赤色」や「黄色」の円、そして進路予想の白い円の定義です。

引用元:気象庁HP

2-1 強風域(黄色い円)

  • 定義: 風速 15m/s 以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に吹く可能性のある範囲。
  • 目安: 風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る。看板が飛ぶ恐れがある。

2-2 暴風域(赤い円)

  • 定義: 風速 25m/s 以上の風が吹いているか、地形の影響などがない場合に吹く可能性のある範囲。
  • 目安: 走行中のトラックが横転したり、樹木が折れたりする。屋外での行動は極めて危険。

2-3 予報円(白い点線の円)

  • 定義: 台風の中心が、70%の確率で入ると予想される範囲。
  • 【重要】 「予報円が大きくなる=台風が巨大化する」ではありません! 「予報円が大きい=進路が定まっておらず、予報のブレ幅(誤差)が大きい」という意味です。これも試験で頻出する引っかけです。

3. 台風の「強さ」と「大きさ」

台風の勢力を示す際、気象庁は「強さ」と「大きさ」の2つの尺度を組み合わせて表現します。(例:「大型で非常に強い台風」)
この2つは全く独立して評価されるため、それぞれの基準を分けて覚えましょう。また、この知識は実技試験においても非常によく問われます。

3-1 台風の「強さ」(最大風速で決まる)

中心付近の最大風速のみで決まります。中心気圧の低さは関係ありません。

階級最大風速 (m/s)最大風速 (ノット)
(階級なし)17m/s 〜 33m/s未満34kt 〜 64kt未満
強い33m/s 以上 〜 44m/s未満64kt 以上 〜 85kt未満
非常に強い44m/s 以上 〜 54m/s未満85kt 以上 〜 105kt未満
猛烈な54m/s 以上105kt 以上
  • 注意: 防災上の観点から、以前使われていた「弱い」「並の強さ」という表現は廃止されました。階級なしの場合は、強さを形容せずに呼びます。

3-2 台風の「大きさ」(強風域の半径で決まる)

強風域(風速15m/s以上)の半径で決まります。(※形がいびつな場合は、平均的な半径を用います)

階級強風域の半径 (km)
(階級なし)500km未満
大型(大きい)500km 以上 〜 800km未満
超大型(非常に大きい)800km 以上
  • 注意: 強さの階級と同じく、「小型」「中型」という表現は廃止されました。

4. まとめ:試験対策チェックリスト

  • 台風の定義: 熱帯低気圧で、最大風速(10分平均)が約 17.2m/s(34ノット) 以上。
  • 風速の境界: 強風域は 15m/s 以上、暴風域は 25m/s 以上。
  • 強さの基準: 33m/s(強い)、44m/s(非常に強い)、54m/s(猛烈な)。
  • 大きさの基準: 500km(大型)、800km(超大型)。
  • 廃止用語: 「弱い」「並の」「小型」「中型」は現在の気象庁用語には存在しない(選択肢にあったら誤り!)。
  • 予報円: 予報円の中に中心が入る確率は 70%。円の大きさは「予報の誤差」を表す。

【実技のコツ:天気図上の500kmの測り方】
実技試験では、天気図上の強風域の半径をデバイダーで測り「大型かどうか」を判定する作業が求められます。
天気図上で「緯度1度分 = 60海里 = 約111km」です。つまり、大型の基準である「500km」は、概ね「緯度5度分(約550km)」に相当します。緯線5度分の長さをデバイダーに取って強風域と比べるテクニックは、時間のない実技試験の強力な武器になります。