1-3 大気現象の分類と天気の種類:天気は何種類あるの?【気象予報士試験対策】

私たちが観測する空の現象は、それを構成する物質の物理的状態と発生プロセスによって「大気現象」として体系的に分類されます。また、ある特定の観測時刻におけるこれらの大気現象や雲の状況を総合的に評価したものが「天気」と定義されます。


1. 大気現象の4大分類

大気現象は、現象の主体となる物質と光学的・電気的プロセスの違いにより、以下の4種類に大別されます。

分類名物理的定義代表的な現象
大気水象水(液体)または氷(固体)の粒子が、大気中を落下・浮遊・吹き上げられている、あるいは地物に付着している現象。雨、雪、霧、霜、吹雪
大気じん象水以外の微小な固体粒子(土壌、ちり、煙、火山灰など)が大気中に浮遊、または風により吹き上げられている現象。煙霧、黄砂、砂じんあらし
大気光象太陽光または月光が大気中の粒子(水滴や氷晶)によって反射・屈折・回折・干渉等を起こすことで生じる光学的現象。虹、暈(ハロ)、光冠
大気電気象大気中において生じる視覚的または聴覚的な電磁気学的現象。電光、雷鳴、オーロラ

2. 主要な大気現象の物理的定義と閾値

気象予報士試験では、現象を区別するための「具体的な数値(閾値)」が頻繁に問われます。

2-1 大気水象(粒径・視程による分類)

降水や浮遊現象は、水滴・氷粒の「直径」や、現象に伴う「視程」によって厳密に区分されます。試験では粒径の正誤を問う問題がよく出されますので、定義をしっかりと覚えましょう。

現象名物理的特性および閾値
雨 / 霧雨液体の降水。水滴の直径が 0.5mm以上 であれば「雨」、0.5mm未満 であれば「霧雨」。
着氷性の雨過冷却状態(0℃以下であっても液相を保つ状態)の雨滴が降下し、地物や航空機に衝突した瞬間に凍結(着氷)する現象。
雪 / 霧雪水蒸気が直接固体化(昇華/凝華)した氷晶の降水。直径1mm未満の微小な不透明氷粒のみの場合は「霧雪」。
あられ / ひょう固体の降水。氷粒の直径が 5mm未満 であれば「あられ」、5mm以上 であれば「ひょう」。ひょうは強い上昇気流を伴う積乱雲からのみ降る。
細氷極低温時に大気中の水蒸気が昇華して形成される極めて微細な氷晶(ダイヤモンドダスト)。
霧 / もや大気中の微小水滴による視程障害。視程が 1km未満 に低下した状態を「霧」、1km以上(通常10km未満)のものを「もや」とする。
地ふぶき地面に積もった雪が強風により吹き上げられる現象。目の高さ(約1.5m)以上まで吹き上げられ、視程障害を伴うものを「高い地ふぶき」、目の高さ以下のものを「低い地ふぶき」とする。

2-2 大気じん象

水滴を含まない微粒子による現象です。ここでも「視程1km」が重要な境界線となります。

現象名特徴
煙霧乾いた微粒子が大気中に浮遊する現象。空や遠方が乳白色に見える。
ちり煙霧風で吹き上げられたちりや砂が、発生源から離れた場所に浮遊しているもの。
燃焼によって生じた微粒子が大気中に浮遊する現象。
降灰火山活動により巻き上げられた灰が降る現象。
砂じんあらし強い風により大量の砂じんが舞い上がり、視程が1km未満になる現象。
高い風じん風で砂じんが高く(目の高さ以上)吹き上げられているが、視程1km以上
低い風じん風で砂じんが低く(目の高さ以下)吹き上げられているもの。視程1km以上
じん旋風地面から巻き上がる砂じんの渦(つむじ風)。地面付近の大気が非常に不安定なときに発生する。
黄砂大陸の黄土地帯で吹き上げられた大量の砂じんが飛来する現象。

2-3 大気光象(光学原理の違い)

現象を引き起こす原因物質(水滴か氷晶か)と、光学的な原理をセットで理解することが必須です。ただし、試験での出題頻度は低めです。

現象名原因物質光学的原理見え方
暈(ハロ)氷晶(巻層雲など)屈折太陽や月の周囲に現れる視半径22度等の光の輪。
光冠水滴(高積雲など)回折太陽や月のすぐ周囲に現れる、内側が青白く外側が赤い光の環。
水滴(降水粒子)屈折・反射太陽の反対側に現れる。

3. 天気の種類(15分類)と優先順位の法則

気象庁の地上気象観測(目視観測を伴う場合)では、ある時刻の天気を15種類に分類します。同時に複数の現象が発生している場合は、表の番号が大きい(下層にある)現象を優先してその時刻の「天気」として報告します。例えば雨(10)が降っていて雷(15)が観測されれば、天気は「雷」となります。

番号天気名判定基準
1快晴全雲量が 0 または 1
2全雲量が 2 以上 8 以下
3薄雲全雲量が 9 以上であり、見かけ上上層雲(巻雲・巻層雲など)が最も多い
4全雲量が 9 以上であり、見かけ上中・低層雲が最も多い
5煙霧煙霧や黄砂等により視程が1km未満、または全天が覆われている
6砂じんあらし砂じんあらしにより視程が1km未満
7地ふぶき高い地ふぶきにより視程が1km未満
8微小水滴により視程が 1km未満
9霧雨直径0.5mm未満の液相降水
10直径0.5mm以上の液相降水、または凍雨
11みぞれ雨と雪が混在する降水
12固相降水(雪、霧雪、細氷)
13あられ直径5mm未満の氷粒の降水
14ひょう直径5mm以上の氷粒の降水
15観測時刻の 前10分間 に雷鳴または雷光を観測(降水の有無は問わない)

4. 試験対策のポイントとまとめ

試験対策のポイントとして一歩踏み込んだ気象学的根拠を解説します。

  • 「霧」と「煙霧/もや」の判別:
    試験で視程低下現象が出題された場合、注目すべきは「相対湿度」です。視程が1km未満でも、相対湿度が極端に低い(乾燥している)場合は、水滴による「霧」ではなく、微小なチリによる「煙霧」と判定されます。
  • 「あられ(13番)」と「ひょう(14番)」の境界が意味するもの:
    5mmという境界線は単なるサイズの違いではありません。直径5mm以上の巨大な氷の塊(ひょう)が大気中に浮遊して成長するためには、極めて強烈な上昇気流(数十m/s)が必要です。つまり、ひょうが観測されるということは、そこにあるのは通常の雪雲ではなく、激しい対流活動を伴う「巨大な積乱雲(シビアストーム)」が存在する力学的な証拠となります。
  • 天気記号の優先順位に隠された「シビア現象への警戒」:
    天気の優先順位(1〜15)をよく観察すると、「防災上、より警戒すべき激しい大気現象」の順位が高く設定されていることがわかります。例えば「雨が降りながら雷が鳴っている」場合、天気は「雨(10)」ではなく「雷(15)」になります。これは気象観測データが、航空機の運航や防災情報へ直結しているためです。

天気15種類については、専門知識の試験だけでなく実技試験においても頻出の項目です。定義をしっかりと覚えましょう。