(1)
①

950hPaから700hPaの温度移流の強弱についてですが、なんとなく風速が大きく温度傾度も大きそうな30日9時のほうが温度移流が強く、21時の方が弱いような気がしますが、もう少し理論的に見ていきます。まず温度移流の強さは温度傾度と温度傾度方向の風の成分の積で表されます。温度傾度が大きくなれば温度移流は強くなりますし、温度傾度の方向に向かう風が強くなれば温度移流は強くなります。
まず温度傾度を求めるには、下記のように、上の図の950hPaと700hPaの風向風速から温度風を求めます。

まず、9時の温度風の大きさと方向です。温度風の大きさは温度傾度の大きさ、温度風の方向は温度傾度の方向と直交した方向を表します。この場合北北西から南南東に向かって温度が高くなっています。オレンジの破線で示されるのが950hPaから700hPaの風の温度傾度方向成分の風の大きさです。

次に21時です。9時よりも温度風が弱く、温度傾度が小さいことがわかります。オレンジの破線で示される温度傾度方向成分の風の大きさも小さく、温度移流が弱いことがわかります。
もっと深めますと、温度移流の強さが、温度傾度と温度傾度方向の風の成分の積で表されますと述べましたが、これは温度風の長さ×オレンジの破線の長さに対応しており、相対的にこれらの温度風と上層下層の風のベクトルで作られる三角形の面積に対応することになります。もちろん9時のほうが三角形の面積が大きく温度移流が強いのです。
温度移流が弱いのは21時です。
②
どちらが低温側かということですが、これも温度風の方向から求めることができます。21時の温度風の方向は

東北東を向いています。ですが問題の指示では8方位で答えよとのことなので、ほぼ東向きとします。温度風は北半球においては低温側を左側に見て吹くので、温度風が東向きのとき、低温側は北となります。理由は前述のとおり、温度風が西から東に向いているため。(17字)
(2)
①

まず相当温位の最小についてです。等相当温位線は3Kごとに太実線、1Kごとに細実線で表されています。Lと書かれた相当温位の極小域付近から西側に張り出す青で示した線は315Kの相当温位線です。660hPa付近を中心とした相当温位の谷があることがわかります。内之浦上空では660hPa付近で315Kの線より内側になりますが314Kの線は東に離れているので、内之浦上空の最小値は整数では315Kということになります。高度は660hPaです。
ここでの湿数は6℃の等湿数線の3つ隣の青で示した太破線となります。等湿数線も1℃ごとに引かれ、3℃ごとに太い破線で示されていますので。答えは6℃の線より3℃差がある3℃か9℃かどちらかになります。ここでその東にDの表記があることから、このあたりは湿数が大きく乾燥していることがわかりますので9℃が正解です。
次に相当温位の最大についてです。315Kの等相当温位線から下層に向かい等相当温位線が密集しています。最大となるのは赤で示した326Kの線と327Kの線の間ぐらいですので、326Kもしくは327Kが正解です。高度は10hPa刻みでは990hPaが妥当です。
湿数はオレンジの破線が1℃なので1℃もしくは0℃が正解です。
②

問題文の通り、800hPaから900hPaに囲まれた範囲を示します。また等相当温位線の尾根をつなぎ、問題文で言及している東西に伸びる相当温位の極値をしめします。これと湿数の分布の対応の特徴について考えます。相当温位は気温が同じであれば湿った空気ほど大きくなりますので、その関係を知っているかを問われた問題だと考えます。
それを踏まえて図を見たとおりに答えると、
相当温位の極大域にほぼ対応して、湿数が相対的に小さくなっている。(32字)
③

再び①の図に戻りますが、内之浦では地上から660hPaに向かって、相当温位が小さくなっていく分布なのがわかります。この状態を対流不安定といいます。下層の暖湿空気が上昇すると潜熱放出により、その空気塊は周囲の空気より温度が高くなり、対流しやすくなり、積乱雲等が発達します。
対流不安定と言える理由は前述のとおり、
上方に向かって相当温位が低くなっているため。(22字)
④
この問題の③以外の大気の状態のうちという題意が不明ですが、大雨をもたらす水蒸気の供給とは下層に水蒸気が供給されることです。これが対流不安定に関連していきます。加えて相当温位と湿数と風に言及するのであれば、相当温位は水蒸気が多ければ、当然高く、湿数は小さくなるわけです。また、風に関して言えば、上の図を見る限り、東側の高相当温位の領域からの東風が予想されています。
これらをまとめると、
下層に、湿数が小さく相対的に高相当温位の暖湿な東風が予想されている。(34字)
(3)

全球モデルに比べて、メソモデルでは水平分解能が高く、また非静力学的モデルを用いているため局所的な上昇流を計算し、降水量を算出しています。
今回、メソモデルで降水量を多く予想しているのは山地の東斜面です。海上から東風が吹くことが予想されており、メソモデルでは、この東風が斜面を上昇し、強い降水となる予想をしているようです。一方全球モデルでは、計算に使う地形モデルもメソモデルに比べて荒く、静力学平衡なモデルであることから局所的な上昇流については表現できません。
よって影響の大きい要因は、地形と鉛直流です。
(4)
解析雨量と地形データを重ね合わせてみます。

大隅半島の山地の南東斜面で降水量が多く解析されているのがわかります。
また前問でも触れていますが内之浦付近は暖湿な東風が吹いていることがわかっています。
以上のことから、下層の暖湿な東風が大隅半島の南斜面で上昇流となり、降水が多くなったということが言えますので、これを念頭に置いて、どのようなところで降水量が多くなったかをまとめると、
山岳の風上側で下層の東風に伴って空気塊が地形に沿って上昇するところ。(34字)
となります。
(5)
これは知識問題ですので、落とさないようにしてください。
大雨による災害名と言えば、山地でのがけ崩れや土石流などの土砂災害。
市街地などで、河川への排水が追いつかず、低地が浸水する浸水害。
河川が増水し、堤防を越流するなどする洪水害の3つです。
つづいて警報や注意報の発表基準の指数についてです。
土砂災害については大雨警報(土砂災害)として発表されます。その基準の指数は土壌雨量指数です。
土壌雨量指数は降水が土壌の各層に浸透したり流出したりする量を計算し、土壌にどれだけの水分が蓄えられているかを指数化したものです。

浸水害については、大雨警報(浸水害)として発表され、表面雨量指数が指数となっています。
表面雨量指数は、降水の地中への浸透量、勾配による水の流れやすさから、どの程度地表に水が貯まるかを算出しています。

洪水害については、洪水警報が発表されますが、その際の基準は、表面雨量指数と流域雨量指数です。
流域雨量指数についてですが、降水が河川に流れる量を指数化したものです。降水が河川に染み出す量や、河川に集められて流下していく量が見積もられ、地点の流量が算出されます。













