雪の降り方は非常に局地的であり、アメダスの観測点だけでは「どこでどれだけ積もっているか」を正確に把握することは困難です。 そこで気象庁は、気象レーダーや数値予報モデルを組み合わせて、約5km四方のメッシュ(面)で雪の状況を解析・予測する情報を提供しています。気象庁ホームページの「今後の雪」画面で確認できるのがこのデータです。
1. 解析積雪深・解析降雪量(実況の把握)
まずは、予報のスタート地点(初期値)となる「現在の雪の状態」を正確に見積もる技術です。
- メッシュの細かさ: 約 5km四方
- 更新頻度: 1時間ごと
解析積雪深(いま、何センチ積もっているか)
解析雨量や局地数値予報モデル(LFM)から得られる降水量・気温・日射量などのデータを、後述する「積雪変質モデル」に入力して積雪の深さを計算します。その後、実際のアメダス積雪計の観測値を使ってズレを補正し、最終的な実況値を作成します。
解析降雪量(この1時間で、何センチ降ったか)
上記の「解析積雪深」が、1時間でどれだけ増加したかを計算したものです。(例:9時の解析降雪量は、8時〜9時の間に増加した積雪深)。 ※雪が溶けたり沈み込んだりして積雪深が減少した場合は「0」として扱われます。マイナスにはなりません。
2. 降雪短時間予報とは(将来の予測)
解析積雪深を初期値として、ここから先の雪の降り方と積もり方を予測する情報です。
- 予測期間: 6時間先まで
- メッシュの細かさ: 約 5km四方
- 更新頻度: 1時間ごと
予測のメカニズム
「降水短時間予報」の降水量予測や、局地数値予報モデル(LFM)の気温・日射量などの予測値を、同じく「積雪変質モデル」に入力して計算します。
3. 計算の要「積雪変質モデル」とは
試験対策として非常に重要なのが、この「積雪変質モデル」の考え方です。 雪の深さは、単に「降った雪の量を足し算する」だけでは計算できません。以下の3つの要素を総合的に計算して、実際の積雪深をシミュレーションしています。
- 新たに積もる雪の量: 降水量と気温から、雪として降ってくる量を計算。
- とける雪の量(融雪): 気温や日射量により、表面から溶けて水になる量を計算。
- 雪の沈み込み(圧密): 積もった雪が自重(自分の重さ)によって時間の経過とともに圧縮され、かさが減る現象を計算。
4. 利用上の留意点と精度低下の条件
約5km四方の平均的な値であるため、局地的なドカ雪は表現しきれず、「降雪量を少なめに予想する傾向」がある点に注意が必要です。 また、実技試験や専門知識では、以下の「解析・予報の精度が低下する気象条件」がよく問われます。
- 風が強い場合
- 雪が風で流されたり、特定の場所に吹き溜まったりするため、5kmメッシュの平均値と実際の積雪に大きなズレが生じます。
- 地上の気温が「1℃〜3℃」の時
- 雨になるか雪になるか(雨雪判別)の境界の気温であるため、モデルが「雨」と計算しても実際は「雪」になったり、その逆が起きたりして誤差が大きくなります。
- 上空に暖かい空気が入っている時(逆転層など)
- 上空で雪が一度溶けて雨(みぞれや凍雨)になるような複雑な温度構造の場合、地上での積雪の予測が極めて難しくなります(南岸低気圧の時などに顕著です)。
まとめ:試験対策チェックリスト
- 降雪短時間予報は、約5km四方の細かさで6時間先まで予測する。
- 降雪量は、積雪深の1時間ごとの増加量であり、減少する場合は「0」となる。
- 計算には、新たな積雪だけでなく、融雪や雪の沈み込みを考慮する「積雪変質モデル」を用いる。
- 局地的な降雪量は、実際よりも少なめに予想される傾向がある。
- 地上気温が1〜3℃の時や、風が強い時は予測精度が低下しやすい。
