中期予報とは、主に明日から1週間先までの天候の推移を予報するものです。気象庁では「府県週間天気予報」として毎日発表しています。
予報期間が延びるほど大気現象のカオス性(初期値のわずかな誤差の増大)の影響を強く受けるため、単一の計算(決定論的予報)ではなく、「アンサンブル予報」による統計的・確率的な予測手法が主役となります。
学科試験(専門知識)では、予報期間の定義だけでなく、「信頼度」や「平年値」に隠された厳密な統計定義が正誤問題のターゲットになります。
1. 府県週間天気予報
旅行の計画や農作業の工程管理、企業の生産計画など、数日先を見越した活動に広く利用される予報です。
1-1 発表の仕組み
- 発表日時: 毎日 11時 と 17時 の1日2回。
【試験のポイント】 短期予報(今日・明日)は「5時・11時・17時」の3回ですが、週間予報には「朝5時の発表がない」のが頻出のひっかけポイントです。
- 予報期間: 発表日の翌日から 7日先 まで。
- 対象区域: 府県予報区(東京都、大阪府など)単位。
1-2 予報される要素(日による細かさの違い)
- 明日・明後日(1〜2日目):
短期予報(府県天気予報)の内容と完全に整合させています。降水確率は「6時間ごと」に発表されます。 - 3日目 〜 7日目:
- 天気: 1日を通した代表的な天気を概況的に予報(例:「くもり一時雨」)。
- 降水確率: 「1日(24時間)を通しての確率」になります(短期予報のように6時間刻みではありません)。
- 信頼度: 予報の確からしさ(A, B, C)が付加されます。
2. 信頼度(A, B, C)と気温の予測範囲
週間予報は期間が長いため、アンサンブル予報の各メンバーの計算結果に「ばらつき(スプレッド)」が生じます。利用者が「この予報はどのくらい信じていいのか?」を客観的に判断できるよう、3段階の信頼度が付与されています。
2-1 ランクの定義
このランクは、「降水の有無(雨が降るか降らないか)」の予報適中率のみを基準に決められています。
【重要】 試験では「信頼度Cは、気温の予報精度が低いことを示している」といった選択肢が出ますが、大間違い(誤り)です。信頼度は気温や風ではなく、あくまで「降水の有無」に対する評価です。
| 信頼度 | 意味 | 統計的な定義(適中率の目安) | アンサンブルの状態 |
|---|---|---|---|
| A | 確度が高い | 明日の予報並みの適中率。 | スプレッド(ばらつき)が小さい |
| B | 確度が標準的 | 4日先の予報と同程度の適中率。 | スプレッドが標準的 |
| C | 確度が低い | Bランクよりもさらに低い適中率。 | スプレッドが非常に大きい |
2-2 気温の予測範囲(80%の確率幅)
アンサンブル予報の誤差を考慮し、最高・最低気温の予報には [ 20 (17〜23) ] のような「予測範囲」が括弧書きで示されます。
- 統計的な意味: 実際に観測される気温が、この括弧内の範囲に入る確率が「約 80%」になるように幅が設定されています。
- 信頼度との関係: 大気の状態が不安定で予測が難しい(アンサンブルのスプレッドが大きい)時は、この80%に収めるための温度幅が広く(±の幅が大きく)なります。
3. 平年値
「明日は平年より暖かいでしょう」や「平年並みの降水量」といった表現の基準となる値です。WMO(世界気象機関)の基準に基づき、統計学的に厳密に定義されています。
3-1 平年値の厳密な定義
- 計算期間: 過去 30年間 の観測値の平均。
- 更新サイクル: 西暦の末尾が「1」になる年に、10年ごとに更新されます。
- 現在の平年値: 現在(2021年〜2030年の間)は、「1991年 〜 2020年」 の30年間のデータを使用しています。
※地球温暖化の進行を反映するため、10年ごとの更新のたびに、平年値の気温は全体的に高くなる傾向にあります。
3-2 「平年並み」の定義
学科試験では、「平年並み」「高い(多い)」「低い(少ない)」といった階級表現の定義も問われます。
気象庁では、過去30年間のデータを小さい順に並べ、全体の数を等分する3つの階級(各33.3%ずつの確率)に分けています。
つまり、「平年並みの気温」とは、過去30年間の中で真ん中の「3分の1(確率33%)」に入るような、ごくありふれた範囲を意味しています。
4. まとめ:試験対策チェックリスト
- 発表タイミング: 週間予報は毎日 11時 と 17時 の2回発表である。(朝5時の発表はない)
- 対象期間の違い: 降水確率は、明日・明後日は「6時間ごと」だが、3日目以降は「1日を通した確率」になる。
- 信頼度の対象: 信頼度(A, B, C)は、「降水の有無(雨が降るか否か)」の予報精度を示している。気温の精度ではない。
- 気温予測範囲の意味: 括弧で示される温度幅は、実況値が入る確率が 約80% となる幅である。
- 平年値の更新: 平年値は過去 30年間(現在は1991-2020年)の平均値であり、10年ごとに更新される。
- 平年並みの定義: 過去30年の中で、真ん中の「33%(3分の1)」に収まる範囲のこと。
