季節予報は、特定の日の天気をピンポイントで当てるものではなく、「この夏は暑くなりそうか」「来月は雨が多い傾向か」といった、平年と比べた大気の状態(偏差)の傾向を予報するものです。
学科試験(専門知識)では、予報の発表のタイミングや、短期・中期予報との「予報要素の違い(特に風の有無)」や、長期予報特有の「確率表現のルール」「予測モデルの仕組み」が頻出します。
1. 季節予報の種類と発表タイミング
気象庁が発表する季節予報は、対象期間によって大きく4つに分類されます。それぞれの発表タイミングは正誤問題で狙われやすいため、しっかり整理しましょう。
| 予報の種類 | 発表のタイミング | 対象期間 | 内容のポイント |
|---|---|---|---|
| 1か月予報 | 毎週木曜日 | 翌々日からの 1か月間 | ・1か月の合計降水量、日照時間、日本海側の降雪量 ・1か月および各週(1週目、2週目、3~4週目)の平均気温 |
| 3か月予報 | 毎月25日ごろ | 翌月からの 3か月間 | ・3か月の平均気温、合計降水量 ・月ごとの平均気温と合計降水量 |
| 暖候期予報 | 2月25日ごろ | 6月 〜 8月 (夏) | ・夏の平均気温と合計降水量 ・梅雨の時期の合計降水量 |
| 寒候期予報 | 9月25日ごろ | 12月 〜 2月 (冬) | ・冬の平均気温と合計降水量 ・日本海側の合計降雪量 |
【10年に一度の〇〇予報とは?】
ニュースなどで、「この時期としては、10年に一度の高温となる可能性」というような表現がよく見られます。定期的な予報とは別の「著しい高温・低温・大雪」などの可能性が極めて高まった場合、6〜14日先を対象に「早期天候情報」というアラートに基づいたものです。これは「通常なら10%程度しか起こらない(30年分の平年値の上位3番目以上の)極端な現象が30%以上の確率に跳ね上がっている」ことを意味し、高い警戒レベルを示しています。ただし、その期間、その場所での平年値との比較なので、全国で年間を通して見れば、珍しくはない発表です。
2. 予報対象と表現方法(3階級の確率予報)
季節予報では、「晴れ」や「25℃」といった断定的な予報は行いません。
過去30年間のデータを小さい順に並べて3等分した「3つの階級(低い・平年並・高い)」に分け、それぞれの階級に入る「確率」で表現します。
- 低い (少): 下位33%の範囲
- 平年並: 中央33%の範囲
- 高い (多): 上位33%の範囲
※特別な異常がない平常時の予測では、各階級の確率は「33%・33%・33%」となります。
予報される要素
全国の地域ごとに、平均的な状態を予報します。
- 平均気温: 全国の地域で予報
- 降水量: 全国の地域で予報
- 日照時間: 全国の地域で予報(※寒候期予報を除く)
- 降雪量: 冬の日本海側の地域のみ
【重要:季節予報に「風」はない!】
学科試験で必ずと言っていいほど出るのが「季節予報に風向・風速が含まれる」という誤りの選択肢です。季節予報には「風」の予報はありません。また、台風の発生数なども含まれません。あくまで気温や降水(水)の傾向がメインです。
3. 用いるデータと予測手法
季節予報は数か月先までの長期間を計算するため、短期予報(GSMなど)とは異なる特別なシステムを使用します。
3-1 大気海洋結合モデル
これが季節予報における最大のキーワードです。
1週間以上の長期予報になると、大気だけの計算では限界が来ます。代わりに「海洋(海面水温)」の変化が大気に与える影響が支配的になります。
- 理由: 海は空気よりも「熱容量」がはるかに大きく、水温の変化がゆっくりであるため、大気の長期的な「記憶装置」として働くからです(エルニーニョ現象などが代表例)。
- 仕組み: 「大気のモデル」と「海洋のモデル」を連結させ、お互いに熱や水蒸気をやり取りさせながら計算を行います。
3-2 季節アンサンブル予報システム
決定論的予報は行わず、多数のメンバー(51メンバーなど)によるアンサンブル予報を行います。
- 解像度の特徴: 全球モデルですが、週間予報よりもさらに粗い格子(約55kmなど)を使用します。細かい地形の影響よりも、地球規模の大きな波(プラネタリー波など)を捉えることが目的だからです。
3-3 統計的手法とテレコネクション
海面水温や雪氷の分布などが、長期予報の重要な「境界条件(下部境界条件)」となります。モデルの計算結果だけでなく、過去の統計的な関係(テレコネクション)も加味してガイダンスを作成します。
- テレコネクション: 遠く離れた場所の天候が、大気の波を通じて連動する現象。
- 例:エルニーニョ現象(ペルー沖の水温上昇)が起きると、日本の夏は「冷夏」になりやすい。
- 例:ユーラシア大陸の雪が多いと、シベリア高気圧が発達し、日本の冬は「寒冬」になりやすい。
4. まとめ:試験対策チェックリスト
- 確率表現: 季節予報は「低い・平年並・高い」の3階級の確率で発表される。
- 予報要素: 気温、降水量、日照時間、日本海側の降雪量。「風」の予報は絶対に含まれない。
- 予測モデル: 長期予報には大気海洋結合モデルが使われている(海が重要)。
- 境界条件: 海面水温や、地表面の雪氷の分布などが、長期予報の重要な下部境界条件となる。
- 発表タイミング: 1か月予報は毎週木曜日、3か月予報は毎月25日ごろの発表である。
- 早期天候情報: 6〜14日先の極端現象を対象とし、基準は30%以上(かなりの確率)。
