第65回気象予報士試験 実技1 問3【過去問解説】

(1) 地形と風

脊梁山脈を挟んだ大気の特徴についてです。脊梁山脈とは、大陸や島を縦断や横断するように伸びた背骨のような山脈です。日本列島で言えば、東北地方の奥羽山脈や中部地方の日本アルプスが該当します。図3の拡大図に落とし込むと下の図のようになります。

この拡大図からわかることは、鉛直流(上昇流か下降流か)と気温の分布です。また、山越えの気流と言えば山岳斜面での強制上昇と、風下側でのフェーン現象が思い浮かびますので、この現象に紐づけて考えます。

風は南東方向から吹いていますので、山脈の南東側が風上、北西側が風下となり、この2つの領域を比較します。鉛直流は、風上では網掛けで表される上昇流が広がり、風下では下降流が広がっています。風が山の斜面に沿って上昇と下降していることがわかります。

気温に関しては、風上側にC、風下側にWの記載があるため、風下側の方が気温が高いと言えます。これもフェーン現象の特徴です。

よってこれらをまとめますと、

山脈の風下側は概ね下降流、風上側は概ね上昇流で、風下側は風上側より気温が高い。(39字)

(2) フェーン現象の解析

エマグラム上に山越えの空気塊の状態を作図すると上の図のようになります。

まず館野の1000hPaの空気塊を持ち上げると、未飽和なため、乾燥断熱線に沿って気温が下がっていきます。地上の露点温度を通る等飽和混合比線と交わる点で凝結します。この例だと950hPaぐらいで飽和し凝結が始まります。その後は、山頂の800hPaまで湿潤断熱線に沿って温度が下降します。空気塊は山を越えたあとは再び1000hPa(新潟県の平地)に下降していくわけですが、このときは乾燥断熱線に沿って温度が上昇します。上昇時に凝結した水分はすべて雨として落下しているので、未飽和な温度変化となります。すると地上では36.5℃に達することになります。よって新潟県の平地の気温は、36℃もしくは37℃となります。

露点温度に関してですが、空気塊は山頂の800hPaでは凝結が起きており飽和しています。ですので、このとき空気塊の混合比は飽和混合比となります。つまり等飽和混合比線からこの空気塊の混合比を読み取ることができます。

山頂の混合比は、等飽和混合比線から約16g/kgです。この混合比は、水分の増減がないため新潟県の平地(1000hPa)に下降しても変化しないため、1000hPaでも16g/kgの混合比と言えます。16g/kgの等飽和混合比線から、この混合比は、1000hPaでは21℃で飽和することがわかります。この21℃が新潟県の平地の露点温度となります。

続いて相対湿度についてです。新潟県の平地の空気は、1000hPaでおよそ36.5℃となっており、飽和混合比は、等飽和混合比線からおよそ39g/kgです。一方で空気塊の混合比は、上述のとおり16g/kgです。相対湿度=混合比/等飽和混合比=16/39=0.41となりますので、10%刻みでは40%となります。

(3) フェーン現象と防災

フェーン現象は、(2)で示した通り、乾燥した高温の風が吹く現象です。

よって、乾燥高温強風に注意が必要です。このなかの2つを記載すれば正解です。高温注意報というのはないですが、注意報を答える問題ではなく、注意すべき気象状況について聞かれているので高温も正解です。