まずは、気象衛星画像での特徴です。下の図では気象衛星画像に、図1の台風中心位置を落とし込んでいます。

温帯低気圧となる見込みの台風に対して、通常の台風の構造と異なる特徴を記載する問題なので、温帯低気圧化の特徴を書く問題とも考えられます。
通常の台風では、台風の中心からほぼ同心円状に雲域が分布しますが、温帯低気圧の特徴としては、雲域は非対称です。発達する温帯低気圧では、温帯低気圧中心の北から東側にかけて、バルジ状の雲域が分布します。
この台風のケースでも、衛星画像で明るく写っている発達した雲域は非対称に分布しており、主に中心の北から東側に分布しています。よって、
発達した対流雲域は中心付近と北~東側に偏り、その他の領域にはほぼない。(35字)
次に700hPaの鉛直流についてです。下の図についても、700hPaの鉛直流、850hPa温度の天気図に台風の地上中心を落とし込んでいます。

典型的な台風の構造であれば、中心付近が上昇流の極大であり、その周辺においても同心円状に上昇流が分布することになります。今回の台風の場合、上昇気流の極大点である-99hPa/hの点は、地上中心の北東側にあります。また、台風の進行方向前面で上昇流、後面で下降流が分布しており、発達する温帯低気圧のような特徴を備えています。これらを問題文の指示のようにまとめると、
上昇流の極大点は中心付近ではなく北東側にあり、南西~北西側は主に下降流となっている。(42字)
次に850hPaの気温についてです。まず、典型的な台風では、台風の中心付近では、潜熱放出による暖気核が存在しています。この台風ではWと書かれた高温域は台風中心の東側であり、西と北にはCと書かれた低温域も見られます。こちらも進行方向前面の暖気の北上と後面の寒気の南下が起こりそうな、発達する温帯低気圧の特徴を示しています。よって答えは、
高温域は中心付近ではなく東側にあり、西~北側には低温域が見られる。(33字)