ナウキャスト(Nowcast)とは、「Now(現在)」と「Forecast(予報)」を組み合わせた造語です。
気象レーダー、衛星、アメダスなどの観測データを統合・解析し、現在から数時間先までの現象を細かく予測するシステムです。
1. ナウキャストの種類
気象庁が発表している主なナウキャストは以下の通りです。目的別に使い分けられています。
| 名称 | 予測対象 | 予報期間 | 更新間隔 |
| 高解像度降水ナウキャスト | 雨の強さ・分布 | 30分先まで | 5分ごと |
| 降水ナウキャスト | 雨の強さ・分布 | 60分先まで | 5分ごと |
| 雷ナウキャスト | 雷の活動度 | 60分先まで | 10分ごと |
| 竜巻ナウキャスト | 突風の発生確度 | 60分先まで | 10分ごと |
2. 高解像度降水ナウキャスト
「ゲリラ豪雨」などの急激な雨の変化に対応するために開発された、非常に精度の高い予報です。
特徴:3次元解析
従来のレーダーだけでなく、以下のデータを組み合わせて立体的(3次元)に解析しています。
- 気象レーダー(Cバンド)
- X-RAIN(XバンドMPレーダー): 国土交通省のデータ。高精細で即時性が高い。
- 気象衛星、アメダス、ウィンドプロファイラ、ラジオゾンデ、GPS水蒸気情報
解像度(メッシュ)の変化
30分先までが高解像度ナウキャストで予想しています。それ以降は降水ナウキャストとなり、精度を保つためにメッシュが粗くなります。
| 予測時間 | メッシュサイズ(解像度) |
| 0 〜 30分先(高解像度降水ナウキャスト) | 250m メッシュ |
| 35 〜 60分先(降水ナウキャスト) | 1km メッシュ |
予測手法
高解像度降水ナウキャストでは、降水域の移動ベクトル(動き)を詳細に計算し、雨雲の発達・衰退も考慮して予測します(運動学的予測に降水過程の効果を加味)
解析事例

高解像度降水ナウキャストでは、解析値に近い予報ができています。
3. 雷ナウキャスト
雷の激しさや可能性を「活動度」という指標で4段階に分けて発表します。
雷監視システム(LIDEN)による検知データなどを元に作成されます。
活動度の階級と意味
| 活動度 | 色 | 意味 | 定義 |
| 4 | 紫 | 激しい雷 | 落雷が多数発生している。 |
| 3 | 赤 | やや激しい雷 | 落雷がある。または、これから激しい雷になる可能性が高い。 |
| 2 | 黄 | 雷あり | 雷鳴や発光がある(雲放電含む)。または、これから雷が発生する可能性が高い。 |
| 1 | 灰 | 雷可能性あり | 現在は雷はないが、今後雷が発生する可能性がある。 |
- 更新間隔: 10分ごと
- 予報期間: 1時間先まで(10分刻み)
- 精度: 活動度1以上で、約60分以内に雷が発生する確率は高い。
試験のポイント:
活動度2〜4が出ている地域では落雷の危険が迫っています。「活動度1」は予備的な注意喚起レベルです。
4. 竜巻ナウキャスト
竜巻などの激しい突風が発生する可能性を「確度(かくど)」という指標で2段階で発表します。
主にドップラーレーダーが観測する「メソサイクロン(渦)」のデータが鍵となります。
確度の階級と的中率
確度2でも確率は低く見えますが、竜巻という稀な現象にしては「非常に高い」という意味です。
| 確度 | 色 | 意味 | 的中率(確率) | 対応する情報 |
| 2 | 赤 | 発生する可能性が高い | 7 〜 14% | 竜巻注意情報が発表される |
| 1 | 黄 | 発生する可能性がある | 1 〜 5% | 注意報レベル |
- 確度2の定義: 竜巻が今まさに発生している、または竜巻をもたらす強い渦(メソサイクロン)が検知されている状態。
- 見逃し率(捕捉率):
- 確度2で予測できる竜巻は、全体の 20〜30% 程度。(残りの7割は見逃してしまう=突発的に発生するため予測が難しい)
- 確度1まで広げると、捕捉率は 60〜70% まで上がりますが、空振り(実際には発生しない)も増えます。
まとめ:試験対策チェックリスト
- 高解像度降水ナウキャストは30分先まで250mメッシュ、更新は5分ごと。
- 降水ナウキャストは1時間先まで(※高解像度ではない)。
- 雷ナウキャストの最高ランクは活動度4。
- 竜巻発生確度ナウキャストの最高ランクは確度2。
- 確度2の的中率は10%前後だが、これは「竜巻予報としては高い」数値である。
- 竜巻発生確度ナウキャストは見逃し(捕捉できない事例)が多いことを理解しておく。
