3-2 数値予報モデルの種類と特性

1. 予報モデルとは?

数値予報モデルとは、大気の状態変化を物理学の方程式(運動方程式や熱力学の式など)を用いてコンピュータで計算し、将来の天気をシミュレーションするプログラムのことです。

しかし、たった一つのモデルですべての予報を行うことはできません。

「地球全体を計算しようとすると、計算量が膨大になりすぎて細かく見ることができない」「細かく見ようとすると、計算時間がかかりすぎて狭い範囲しか計算できない」というトレードオフがあるからです。

そのため、気象庁では目的に応じて複数のモデルを使い分けています。

  • 決定論的予報: 「明日の正午の気温は〇〇℃」のように、一つの答えを出す予報(GSM, MSM, LFM)。
  • アンサンブル予報: 初期の条件をわずかに変えて多数の計算を行い、「雨が降る確率は30%」のように不確実性や確率を見積もる予報(GEPS, MEPSなど)。

2. 決定論的予報モデル(3種類)

天気予報のベースとなる「メインのシナリオ」を計算するモデルです。

モデル名称全球モデル (GSM)メソモデル (MSM)局地モデル (LFM)
主な用途・明後日以降の天気予報
・週間天気予報
・台風情報の進路予報
・今日・明日の天気予報
・防災気象情報(警報・注意報)
・航空気象予報
・航空気象予報
・土砂災害警戒情報
・より詳細な防災情報
予報領域地球全体日本とその周辺日本列島とその近海
水平格子間隔13km5km2km
予報期間264時間(11日先まで)(00, 12UTC)

132時間(06, 18UTC)
78時間(00, 12UTC)

39時間(その他)
10時間 (下記以外の正時)

18時間(3の倍数の時間)
実行回数1日 4回
(00, 06, 12, 18 UTC)
1日 8回
(3時間ごと)
1日 24回
(1時間ごと)

試験のポイント:

  • GSM: 「Global(全球)」のG。週間予報や台風進路に使われる日本の予報の基礎
  • MSM: 「Meso(中規模)」のM。5kmメッシュで、地形の影響や前線の構造を細かく計算できる。明日の予報の主力。
  • LFM: 「Local(局地)」のL。2kmメッシュという超高解像度だが、計算負荷が高いため10時間先までしか計算しない。直近の集中豪雨予測などに強い。

3. アンサンブル予報モデル(3種類)

「予報のブレ幅(信頼度)」を把握するためのモデルです。多数のメンバー(計算パターン)を実行します。

モデル名称全球アンサンブル予報システム (GEPS)メソアンサンブル予報システム (MEPS)季節アンサンブル予報システム (Seasonal EPS)
主な用途・台風の暴風域に入る確率
・週間予報の信頼度
・1か月予報
・早期天候情報
・大雨の発生確率
・雷の可能性
・MSMの確からしさの評価
・3か月予報
・暖候期・寒候期予報
・エルニーニョ予報
予報領域地球全体日本とその周辺地球全体
水平格子間隔約 27km
(※目的により異なる)
5km約 55km
予報期間・台風・週間用:18日39時間最大 7か月
実行回数1日 2回 または 4回
(※目的により異なる)
1日 4回
(00, 06, 12, 18 UTC)
1日 1回
メンバー数51メンバー21メンバー5メンバーなど

試験のポイント:

  • GEPS: GSMのアンサンブル版。「台風が予報円のどこを通るか」「週間予報がAとBどちらのシナリオになりそうか」を判断します。
  • MEPS: MSMのアンサンブル版。「5kmメッシュ」という高解像度で確率予測を行うのが特徴。「大雨の発生ポテンシャル」の把握に使われます。
  • 季節予報: 半年以上先まで計算するため、海面水温の変化なども組み込んだ「大気海洋結合モデル」が使われます。

まとめのヒント

試験では、「週間天気予報に使われるモデルはMSMである(正解はGSM)」や、「LFMは全球を対象としている(正解は日本域)」といった入れ替え問題がよく出ます。

  • 期間: 短い $\leftarrow$ LFM(10h-18h) < MEPS/MSM(39-78h) < GSM(5.5日-11日) < 季節(7ヶ月) $\rightarrow$ 長い
  • 細かさ: 粗い $\leftarrow$ 季節 < GSM < MSM/MEPS < LFM$\rightarrow$ 細かい

この「解像度」と「予報期間」の反比例関係をイメージしておきましょう。