第57回実技2 問3(4)

①求めるべきものがたくさんありますが、まず、逆転層である前線の転移層の上端の気圧についてです。

上層に向かって気温が高くなっている層を探します。935hPaから790hPaにおいて、上層に向かって気温が高くなっている層があるのがわかります。よって転移層の上端は790hPaです。

また、転移層の厚さは下端が935hPaなので935hPa-790hPa=145hPaとなるので、問題の指示通りに10hPa刻みで答えると150hPaとなります

次にこれらについて、気圧ではなく、高度(m)で求めていきます。逆転層の上端の790hPaの高度についてです。800hPaの高度は1955mです。700hPaにおいては3048mとなっていますので、800hPaと700hPaの高度差は1093mとなります。よって、800hPaから700hPaの間においては10hPaあたり109mの高度差ということになっていますので、790hPaの高度は800hPaの高度1955mに109mを加えた2064mということになります。10m刻みで答えると2060mとなります。

次に転移層の厚さを求めます。下端の935hPaの高度は、900hPaの高度が991mで、1000hPaの高度が131mですので991m-(991m-131m)×0.35=690mとなります。

上端の高度が2060mなので逆転層の厚さは、1370mとなります。読み取りの誤差や計算途中の端数処理の関係で答えがかわることから、気象業務支援センターの模範解答についても幅を持たせているようです。

②前線の構造の断面図は以下のようにかくことができます。

上の問題から、館野の転移層の上端(前線面)の高度は2060mであることがわかっており、地上前線と館野の距離は260km(260000m)です。このときの勾配の大きさは、260000mあたり2060m高度が変化する勾配であるため、2060/260000となります。これを1/Fのかたちにするために、分母と分子を2060で割ると、1/126となります。10の倍数で答えるとF=130となります。

次に地上の前線帯の幅については、以下のように断面図をかくことで導き出すことができます。

前の問題から転移層の厚さは1370mであり、問題文の条件より、この厚さはどこでも一定です。

転移層の厚さと地上の前線帯の幅(転移層の地上の水平幅)の比は前線面の勾配から1:130となりますので、地上の前線帯の幅は178100mとなりますので、解答は10km刻みで180kmととなります。