9-2 警戒レベルに対応した気象警報・注意報:2026年最新の改正内容を徹底解説【気象予報士試験対策】

気象庁では、気象災害による被害を防ぐために、危険度に応じて様々な防災気象情報を発表しています。2026年5月の制度改正により、防災気象情報は警戒レベルとの対応がより明確になりました。ただし、すべての警報・注意報が警戒レベルに対応しているわけではありません。制度が変わる前の2025年度以前の試験の回答とは整合しない部分もありますが、ここでは、新しい制度について解説します。


1. 警戒レベルに対応した警報・注意報

警戒レベルは、住民が避難行動を判断するための5段階の指標です。対象となるのは、大規模な避難が必要となる河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の4つの現象についてです。

河川氾濫大雨土砂災害高潮備考
発表基準河川水位表面雨量指数
流域雨量指数
60分雨量及び土壌雨量指数水位又は潮位
レベル5レベル5
氾濫特別警報
レベル5
大雨特別警報
レベル5
土砂災害特別警報
レベル5
高潮特別警報
命の危険あり
避難よりも身を守る行動
レベル4レベル4
氾濫危険警報
レベル4
大雨危険警報
レベル4
土砂災害危険警報
レベル4
高潮危険警報
危険な場所から全員避難
レベル3レベル3
氾濫警報
レベル3
大雨警報
レベル3
土砂災害警報
レベル3
高潮警報
高齢者等はこの段階で避難
レベル2レベル2
氾濫注意報
レベル2
大雨注意報
レベル2
土砂災害注意報
レベル2
高潮注意報
避難行動の確認
レベル1早期注意情報早期注意情報早期注意情報早期注意情報心構えを高める

1-1 河川氾濫

河川氾濫では、指定河川については、水防活動向けの情報として、氾濫発生情報、氾濫危険情報、氾濫危険情報、氾濫注意情報を気象庁と河川管理者が共同で発表しており、それ以外の河川については、気象庁が洪水警報と洪水注意報を発表していました。

また、洪水警報は河川によって対象が異なり、中小河川では洪水警報が発表されない場合もありました。

新制度の変更点

河川氾濫に関する情報は大規模な河川である洪水予報河川(全国で約400河川)で、水防向けの氾濫情報ではなく、下記の通り一般向けの警報として扱うこととしました。

  • レベル5河川氾濫特別警報
  • レベル4河川氾濫危険警報
  • レベル3河川氾濫警報
  • レベル2河川氾濫注意報
  • 早期注意情報

また、小規模河川については従来の洪水警報ではなく、大雨に関する情報で危険度を伝える仕組みに整理されました。


1-2 土砂災害

土砂災害は、大雨特別警報、大雨警報(土砂災害)、大雨注意報(土砂災害)があり、さらに警報とは別に土砂災害警戒情報も含めて運用されていました。

レベル4相当だったのは「土砂災害警戒情報」でしたが、名称だけでは危険度が分かりにくいという課題がありました。

新制度の変更点

警戒レベルに合わせて下記のとおり名称が統一されました。

  • レベル5土砂災害特別警報
  • レベル4土砂災害危険警報
  • レベル3土砂災害警報
  • レベル2土砂災害注意報
  • 早期注意情報

さらに、発表基準は「土壌雨量指数+60分雨量」の組み合わせへ全国で統一され、実際の土砂災害発生状況により近い判定となりました。


1-3 大雨

大雨による内水氾濫については、大雨特別警報、大雨警報(浸水害)、大雨注意報(浸水害)により運用されており、レベル4に対応する専用の警報はありませんでした。

浸水害の危険度は「キキクル」などで確認する必要があり、避難開始のタイミングが分かりにくいという課題がありました。

新制度の変更点

大雨による内水氾濫も下記の通り警戒レベルに対応しました。指定河川以外による外水氾濫もこの警報により運用されています。

  • レベル5大雨特別警報
  • レベル4大雨危険警報
  • レベル3大雨警報
  • レベル2大雨注意報
  • 早期注意情報

また、大雨危険警報は浸水想定区域外など避難が不要な地域をあらかじめ除外して発表されるようになり、より実際の避難対象地域に即した情報となりました。


1-4 高潮

高潮は、高潮特別警報、高潮警報、高潮注意報で運用されていましたが、警戒レベルとの対応が十分明確ではありませんでした。

新制度の変更点

高潮についても他の災害と同じ体系へ整理されました。

  • レベル5高潮特別警報
  • レベル4高潮危険警報
  • レベル3高潮警報
  • レベル2高潮注意報
  • 早期注意情報

また、高潮危険警報・高潮特別警報は最新の海岸堤防や防潮施設の整備状況を反映した基準で発表されるようになり、より現実的な危険度評価が可能となりました。


1-5 変更点の比較一覧

対象2026年5月以前2026年5月以降
河川氾濫洪水警報・氾濫警戒情報など複数体系警戒レベル1~5で統一。気象警報として扱い、危険警報・特別警報を新設
土砂災害土砂災害警戒情報がレベル4相当土砂災害危険警報へ変更しレベルを明確化
大雨(浸水害)レベル4相当なしレベル4大雨危険警報を新設
高潮レベル4相当なしレベル4高潮危険警報を新設

2. 試験対策ポイント

  • 2026年5月から防災気象情報は河川氾濫・土砂災害・大雨・高潮の4分野で警戒レベル1~5に統一された。
  • 危険警報(レベル4)が新設され、「危険な場所から全員避難」のタイミングが分かりやすくなった。
  • 河川氾濫では河川氾濫特別警報、高潮では高潮危険警報・高潮特別警報が新設された。
  • 土砂災害は土壌雨量指数と60分雨量を組み合わせた基準に統一された。
  • 大雨危険警報は避難が必要な区域に絞って発表されるよう改善された。