9-4 キキクル

テレビのニュースなどで「紫色の危険なエリアが広がっています」と解説される地図、それが「キキクル」です。

雨雲レーダーが「雨の強さ」を示すのに対し、キキクルはこれまでの雨量や地盤の状況を計算し、「実際に災害が起きる危険度」を色分けして表示します。

1. キキクルの種類(3つの災害リスク)

大雨がもたらす災害は大きく3つに分けられ、それぞれに対応するキキクルが用意されています。

引用元:気象庁HP
キキクルの名称正式名称対象とする災害危険度を判定する計算指標
土砂キキクル大雨警報(土砂災害)の危険度分布がけ崩れ、土石流などの土砂災害土壌雨量指数
(土の中にどれだけ水分が溜まっているか)
浸水キキクル大雨警報(浸水害)の危険度分布下水道などの処理能力を超えて水があふれる内水氾濫表面雨量指数
(地表面にどれだけ雨水が溜まっているか)
洪水キキクル洪水警報の危険度分布河川の増水による堤防の決壊や外水氾濫流域雨量指数
(上流に降った雨がどれだけ川に集まっているか)

※これらの指数は、雨が止んだ後も「土の中の水分」や「川を流れる水」が引くまでは危険度が高いまま維持されるのが特徴です。


2. キキクルの色分けと判定の仕組み

キキクルは、危険度に応じて5段階の色分けで表示されます。この色は、市町村が発令する「警戒レベル(避難情報)」と直接リンクするように設計されています。

キキクルの色危険度レベル相当する警戒レベルと情報とるべき行動の目安
災害切迫【警戒レベル5相当】
大雨特別警報など
命の危険、直ちに安全確保
すでに災害が発生しているか、いつ起きてもおかしくない極めて危険な状況です。
危険【警戒レベル4相当】
土砂災害警戒情報など
全員避難
過去の重大な災害発生時に匹敵する状態です。速やかに危険な場所から避難を完了させてください。
警戒【警戒レベル3相当】
大雨警報・洪水警報
高齢者等は避難
避難に時間のかかる方は避難を開始し、一般の方も避難の準備をする段階です。
注意【警戒レベル2相当】
大雨注意報・洪水注意報
避難行動の確認
ハザードマップや避難場所を確認し、今後の気象情報に注意してください。
無色
(地図上の地色)
今後の情報に注意【警戒レベル1相当】早期注意情報(警報級の可能性)
もしくは発表なし
まだ災害の危険性は低いですが、雨が予想される場合は最新の予報を確認してください。
  • 「紫」が出たら即避難: キキクルの「紫(危険)」は、市町村から「避難指示」が発令される目安となる非常に強い警告です。黒を待たずに、紫の段階で避難を完了させることが鉄則です。
  • 「黒」は手遅れの可能性: 「黒(災害切迫)」は、すでに災害が発生している可能性が高い状況を示すため、この段階からの屋外への避難はかえって危険な場合があります。

土砂キキクルの判定の仕組み

土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)は、土壌雨量指数と60分雨量の実況値や2時間先までの予測値を用いて5段階に色分け表示しています。

引用元:気象庁HP

浸水キキクルの判定の仕組み

「浸水キキクル」(大雨警報(浸水害)の危険度分布)は、表面雨量指数の実況値や1時間先までの予測値を用いて5段階に色分け表示しています。

洪水キキクルの判定の仕組み

洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)は、流域雨量指数等の実況値や3時間先までの予測値を用いて5段階に色分けし、河川の流路に沿って表示しています。

中小河川において、流域雨量指数基準と複合基準の双方を持つ場合は、両者による判定のうち、より危険度の高いほうに色分けして表示しています。

指定河川洪水予報の状況もレベルに応じて色分けして表示されます。

記録的短時間大雨情報

記録的短時間大雨情報とは、数年に一度しか発生しないような猛烈な雨が、特定の地域で実際に観測・解析された際に気象庁が発表する情報です。この情報は、単なる「雨の予報」ではなく、「すでに災害が発生してもおかしくないほどの猛烈な雨が降っている」という切迫した状況を伝えるものです。 

発表の基準:概ね1時間に100ミリ前後の雨量が基準となります。各都道府県ごとに、過去の記録(歴代1位や2位など)を参考に具体的な数値が設定されています。 

すでに土砂災害警戒情報が発表されているときに発表されます。 


まとめ:防災対策の要点

  • キキクルは、雨の強さではなく「実際の災害危険度」を色で示すマップ。
  • 土砂(がけ崩れ等)、浸水(内水氾濫)、洪水(河川の氾濫)の3種類がある。
  • 色は警戒レベルと連動しており、「紫(警戒レベル4相当)」が出たら全員避難が原則。
  • 指数を用いているため、雨が止んだ後でもキキクルの色が赤い(紫の)間は警戒を続ける必要がある。