5-3 季節予報

季節予報は、特定の日の天気を当てるものではなく、「この夏は暑くなりそうか」「来月は雨が多い傾向か」という、平年と比べた大気の状態(偏差)を予報するものです。

1. 季節予報の種類

気象庁が発表する季節予報は、対象期間によって大きく4つに分類されます。

予報の種類発表のタイミング対象期間内容のポイント
1か月予報毎週木曜日翌々日からの 1か月間・1ヶ月の合計降水量、日照時間、日本海側の降雪量
・1ヶ月および1週目、2週目、3~4週目の平均気温
3か月予報毎月25日以前の火曜日翌月からの 3か月間・3ヶ月平均気温、合計降雪量および日本海側の合計降雪量
・月ごとの平均気温と合計降水量
暖候期予報2月25日以前の火曜日6月 〜 8月 (夏)・夏の平均気温と合計降水量。
・梅雨の時期の合計降水量。
寒候期予報9月25日以前の火曜日12月 〜 2月 (冬)・冬の平均気温と合計降水量。
・日本海側の合計降雪量など。

補足:早期天候情報

上記の定期的な予報とは別に、「著しい高温・低温・大雪」などの可能性が極めて高まった場合(6~14日先を対象)に発表されるアラート情報です。

  • 確率: 「かなりの確率(30%以上)」と表現されますが、これは通常発生確率が10%程度の極端な現象に対する確率なので、非常に高い警戒レベルを意味します。

2. 予報対象と表現方法(確率予報)

季節予報では、「晴れ」や「25℃」といった断定的な予報は行いません。

「3つの階級(低い・平年並・高い)」に分けた「確率」で表現します。低い確率◯%、平年並みの確率◯%、高い確率◯%というふうに表します。

3つの階級

過去30年間のデータを並べて、低い方から順に3等分して基準を作ります。

なにも情報がなければ、それぞれの発生確率は 33%・33%・33% です。

  • 低い (少): 下位33%の範囲。
  • 平年並: 中央33%の範囲。
  • 高い (多): 上位33%の範囲。

予報される要素

地域ごとの平均的な状態を予報します。

  1. 平均気温: 全国の地域で予報。
  2. 降水量: 全国の地域で予報。
  3. 日照時間: 全国の地域で予報(※寒候期予報を除く)。
  4. 降雪量: 冬の日本海側の地域のみ。

試験のポイント:

季節予報には「風」の予報はありません。(台風の数なども含みません)。あくまで気温や水の状態がメインです。


3. 用いるデータと予測手法

季節予報は、数ヶ月先の計算を行うため、短期予報(GSMなど)とは異なる特別なモデルを使用します。

① 大気海洋結合モデル

これが最大のキーワードです。

1週間以上の長期予報になると、大気の状態だけでなく、「海洋(海面水温)」の変化が大気に与える影響が支配的になります。

  • 理由: 海は空気よりも熱容量がはるかに大きく、水温の変化がゆっくりであるため、大気の長期的な記憶装置として働くからです(エルニーニョ現象などが代表例)。
  • 仕組み: 「大気のモデル」と「海洋のモデル」をセットにして、お互いに熱や水蒸気をやり取りさせながら計算します。

② 季節アンサンブル予報システム

決定論的予報は行わず、必ずアンサンブル予報を行います。

  • メンバー数: 51メンバー(など多数)。
  • 計算頻度: 月に数回。
  • 解像度: 全球モデルですが、週間予報よりもさらに粗い格子(約55kmなど)を使用します。細かい地形よりも、地球規模の大きな波(テレコネクション)を捉えることが重要だからです。

③ 統計的手法(ガイダンス)

モデルの計算結果だけでなく、過去の統計的な関係も考慮します。

  • テレコネクション: 遠く離れた場所の天候が連動する現象。
    • 例:エルニーニョ現象が起きると、日本の夏は冷夏になりやすい。
    • 例:ユーラシア大陸に雪が多いと、日本の冬は寒くなりやすい。

まとめ:試験対策チェックリスト

  • 季節予報は「低い・平年並・高い」の3階級の確率で発表される。
  • 予報要素は、気温、降水量、日照時間、および日本海側の降雪量。(風はない)
  • 予測モデルには、大気海洋結合モデルが使われている。
  • 海面水温や雪氷の分布などが、長期予報の重要な境界条件となる。
  • 1か月予報は毎週木曜日、3か月予報は毎月25日前頃発表。