地球は、太陽からのエネルギーを受け取り、大気や海洋が循環することで環境を維持しています。その中で物質がどのように巡っているのかを知ることは、気象や気候を理解する上で不可欠です。
1. 地球表層の水循環
水は、地球上で「気体(水蒸気)」「液体(水)」「固体(氷)」の3つの姿(相)を自由に変えることができる唯一の物質です。この状態変化が、私たちの天気を作っています。
水の循環経路
- 蒸発: 太陽の熱エネルギーによって、海や地面から水分が蒸発し、水蒸気となって大気中へ入ります。
- ポイント: このとき、水は周囲から熱を奪って(蓄えて)水蒸気になります。この熱を「潜熱(せんねつ)」と呼びます。
- 輸送・凝結: 水蒸気は風によって運ばれ、上空で冷やされると凝結して雲(水滴や氷晶)になります。
- ポイント: 凝結するとき、蓄えていた潜熱を放出します。これが「大気を暖めるエネルギー源」となり、台風や低気圧を発達させます。
- 降水: 雲の粒が大きくなると、雨や雪となって地表に戻ります。
- 流出: 地表に降った水は、川となって海へ戻ったり、地下水となったりして、再び蒸発の時を待ちます。
滞留時間
ある物質が、その場所に平均してどのくらい留まっているかを示す時間を「滞留時間」と呼びます。
- 大気中の水蒸気:約10日
- 水は大気中に入っても、わずか10日程度ですぐに雨となって落ちてしまいます。この回転の速さが、日々の激しい天気変化を生み出しています。
- 海水: 数千年
- 一度海に入ると、再び蒸発するまでには長い時間がかかります。
水は、全体の97%が海洋、2.4%が雪氷、0.6%が地下水、0.02%が河川や湖沼に存在します。
蒸発と降水による収支
蒸発と降水による水循環の収支は以下のようになります。

陸上よりも海洋の方が面積が広いため、海洋のほうが蒸発・降水ともに多いです。ちなみに、海洋には、1.4×1021kgの水が存在します。
2. 二酸化炭素($CO_2$)の循環
二酸化炭素もまた、大気、海洋、陸上生物の間を循環しています。化石燃料の燃焼による長期的な増加トレンドに加え、**1年周期の規則的な変動(季節変化)**が見られるのが大きな特徴です。
2.1 陸上生物とのやり取り(季節変化の原因)
大気中の二酸化炭素濃度は、季節によって増減を繰り返しており、そのグラフはギザギザした形になります。
- 主な原因: 陸上の植物による光合成と呼吸のバランスの変化です。
- 変動のパターン(北半球の場合):
- 春〜夏(濃度減少): 植物が葉を茂らせ、活発に光合成を行います。大気中の$CO_2$を大量に吸収するため、濃度は下がります(9月頃に最小)。
- 秋〜冬(濃度増加): 落葉や枯死により光合成が弱まり、土壌中の有機物の分解や生物の呼吸が優勢になります。大気中へ$CO_2$が放出されるため、濃度は上がります(5月頃に最大)。
なぜ北半球の季節が基準になるのか?
地球の陸地面積は北半球に偏っており、植物の量も北半球の方が圧倒的に多いため、地球全体の$CO_2$変動は北半球の季節(植生)に支配されています。
そのため、振幅(変動の幅)は高緯度ほど大きく、南半球や赤道付近では小さくなります。
2.2 海洋とのやり取り
海洋は、放出された人為起源$CO_2$の約3割を吸収しますが、水温やプランクトンによって出し入れが行われています。
- 物理ポンプ(溶解ポンプ):
- 冷たい海(高緯度): 気体は水温が低いほどよく溶ける(ヘンリーの法則)ため、$CO_2$を吸収し、深層へ沈み込みます。
- 暖かい海(赤道付近): 水温が高いため溶けきれず、$CO_2$を大気中へ放出します。
- 生物ポンプ:
- 海洋のプランクトンが光合成で炭素を取り込み、死骸となって深海に沈むことで炭素を隔離します。
まとめ:気象予報士試験でのポイント
| 項目 | 水循環の特徴 | 炭素循環の特徴 |
| 主な形態 | 状態変化(気体・液体・固体) | 化学反応・溶解 |
| エネルギー | 潜熱の輸送(赤道→極)が主役 | 温室効果による保温が主役 |
| 大気中の滞留時間 | 約10日(非常に短い) | 数年〜数百年(長い) |
| 季節変動 | 降水量や雲量として現れる | 植物の光合成により夏低・冬高となる |
