(1) 降水と気象状況
① 降水域と低気圧

およそ茨城県、埼玉県、山梨県にかけて帯状の降水域があります。
問題に問1(3)に着目してとありますが、この問題では、渡島半島付近の低気圧の前線は850hPaの-9℃の等温線に、日本の南の低気圧の前線は9℃の等温線に対応しているというものでした。
24日21時の850hPaの予想図のこれらの等圧線は下の図の位置となります。

よって、関東地方の帯状の降水域に対応しているのは-9℃の等温線であり、渡島半島付近の低気圧です。
② シアーラインの作図

等圧線を作図する問題ですが、気圧の測定点が少なく、線形を特定しにくい状況です。しかし、これまでの問題から、前線を伴っているので、地上前線の位置が気圧の谷となるような等圧線の形状となるはずです。先にシアーラインについて考えていきます。

北東の風と南西の風のシアーがありますのでここが地上前線となります。この地上前線が気圧の谷となることを意識しながら993hPaの等圧線を作図します。

シアーラインを994hPaの等圧線で囲むようにして、930より大きい観測点と930より小さい観測点を分けるように作図してください。また930の観測点を必ず通過しますと上記のような線形が解答となります。
③ シアーラインと降水域
まず18時については、②で作図したシアーラインの位置を確認します。15時については、問題文の条件の通り、北成分の風と南成分の風が分かれるところの、北成分の先端付近をシアーラインとすると下記のようになります。

2つの時間帯のシアーラインと降水域の位置関係について、聞かれているということは、位置関係の違いを聞かれているわけです。15時と18時では、シアーラインから降水域までの距離が違うわけです。解答用紙の書き出しに合わせて具体的に書くと次のようになります。
18時:シアーラインは降水域の南側に離れて位置する。
15時:シアーラインは降水域の南東端付近に位置する。
(2) 降水と気象状況
① 前線の通過時刻

各要素が大きく変化したのは16時20分から16時30分なので、前線が通過した時刻は16時30分となります。
まず風については、16時00分から16時30分にかけて、ゆっくりと変化していますが、16時20分から16時30分にかけて、風向が北東から北に変わり、風速も大きくなっています。それ以降は風向風速の変化がなく、この時間に前線が通過したと言えます。
気温については、16時30分までの10分間で2℃以上下がっています。問題は寒冷前線の通過なので、この時間に前線が通過したと言えます。
露点温度についても同様に急激な低下となっています。気温の変化の影響で露点温度も低下しています。
海面気圧については、16時20分から16時30分にかけて、その前よりも上昇幅が大きくなっています。前線は気圧の谷ですので、それが通過したためと考えられます。
まとめますと、
風:北東から北に変わり強くなった。
気温:急速に低下を始めた。
露点温度:大きく低下した。
海面気圧:上昇率が大きくなった。
② 降水と降雪の読み取り

1634●となっていることから16時34分から雨が降り、その後みぞれや雪となり、2039∞、つまり20時39分に煙霧となるまで、降水が続いていることがわかります。よって、降水の期間は、青で示した16時34分~20時39分までです。
降雪については、赤枠のとおり17時03分にみぞれとなってから、その後17時45分に雪となり、20時39分に煙霧となるまでなので、17時03分~20時39分です。
③ 視程の読み取り

1740VIS1となっているところから1848までVIS1もしくはVIS0.5となっているので、視程が1km未満なのは17時40分~18時48分です。
④ 視程と気象要素

視程1km未満の時間帯を図10に示しています。前の問題からこの時間帯は雪が降っていることがわかっているので雪の影響によって視程が悪いものと考えます。すると気温や降水量の変化が、視程の変化の要因となっているのではないかと推測できます。気温については、視程が1km未満の時間帯が始まる前に大きく下がり、その後低いままとなっています。降水については、視程が1km未満になる前から始まり、視程が回復するころになくなっています。つまり、視程が1km未満の時間帯は気温が下がったタイミングで始まり、降水がなくなったタイミングで終わっています。よって2つの要素について数値を示して解答をまとめますと
気温が0.5℃以下で、10分間降水量が0.5mm以上である。(30字)
⑤ 降水と湿数

図10において、②で求めた降水の期間である16:34から20:39の湿数の変化を示しました。気温と露点温度の差が湿数なので青い部分の上下の幅が湿数となります。湿数は大→小→大となっていますのでこの変化について書きます。ただし60字程度と長い字数のしていなので、時間などに言及して下記のようまとめます。
降水開始とともに17時30分まで小さくなり、その後はほぼ一定で、20時10分以降急速に大きくなり、降水は終了した。(57字)
(3) 前線面と温度移流

まずは、温度移流の種類についてです。
以前の問題から前線により、北成分の風と南成分の風に分けられていました。それをもとに図11に前線面を作図すると上のオレンジの線のようになります。
17時30分の前線面より上層の温度移流の種類を推測するため、この時間の前線面付近から上の層の風向に着目します。風向と温度移流の関係といえば、風向が上方に向かって時計回りに変化していれば暖気移流、反時計回りであれば寒気移流というものでした。
回のケースでは、上方に向かって、時計回りに風向が変化していますので、暖気移流となります。
理由については上記のとおりですが、問題の指示は、前線面付近およびそれより高い層の風向に注目してとされていますので、この2つの層の具体的な風向を明示して、それが上方に向かって時計回りであるという解答を作成する必要があります。
前線面付近では、見づらいですが風向は北東です。それが、上方に向かって時計回りに変化していき最上層の5kmでは、南西風となっています。これらをまとめますと
前線面付近の1.2kmで北東風、5kmでは強い南西風で、風が上方に向かって時計回りに変化している。(49字)
次に前線面の高度変化についてです。問題の指示のとおり、最初に前線が認められる時刻と高度に言及するようにします。
上の図のとおり、北風成分と南風成分の鉛直シアー(前線面)が明瞭となるのは、16時40分ごろです。このとき、高度は1km弱です。そして、この前線面の高度は上昇していき、一番左の21時00分ごろには高度2km程度となります。これらをまとめますと
16時40分には0.9kmであるが、その後は次第に上昇し21時には2kmに達している。(43字)
(4) シアーラインの解析
① シアーラインと風
まず15時のシアーラインについてです。

図9のシアーラインは上の図のように解析できるので、図13の断面図では、だいたい東経140°付近にシアーラインが解析できるのではないかと考えます。

図13の975hPa面では東経140.25°と東経140.50°を境に北西の風と南西の風に分かれています。問題文にはこのうち図の左側の地点の経度を答えるように指示がありますので、15時については、東経140.25°となります。
次に18時についても同様に考えます。

シアーラインは図13の断面図では東経141°よりさらに東側に現れそうです。

東経141.50°から141.75°かけて風向が北西から西に変化していますので、18時においては東経141.50°が正解となります。
② 上昇流の発生要因
問題の上昇流域A、B、Cは以下のようになります。

まずAについては、山岳の左側(北西側)に北風が吹いていますので、山岳の斜面に風が吹き付けていると言えます。よってこの地形によって強制上昇しているわけです。
次にBとCについて考えます。

Bは地上前線からやや北西側、Cは地上前線付近です。前線面は北西側に行くほど高くなっており、Bの上昇流域が比較的高い位置にのみ認められるのと整合がとれますので、Bは上空の前線面であると言えます。Cについては、地上前線付近なので地上付近の強い風による収束によるものです。
よってA:イ、B:ア、C:ウとなります。
③ 上昇流と湿数

BとCの上昇流域は図13(下)での位置は上の図のとおりです。Bの上昇流域はおおむね湿数3℃以下の領域と重なっており、Bのほうが湿潤域と対応が良いといえます。そしてこのBの上昇流域での風の鉛直分布に関連した湿潤域との対応関係ですが、Wと書かれた湿数の極小点が、下層の弱い南西風と上層の強い南西風の間ぐらいにあります。これを下記のようにまとめます。
Bのほうが湿潤域との対応が良く、南西風が上空に向かって強まる領域に対応している。(40字)
そもそもBの上昇流は②より、前線面による影響です。この付近では下層の寒気層が北よりの風、上層の暖気層が南西風となっており、その間の暖気側の境界が前線面となります。前線面付近では空気塊が凝結しながら上昇するため湿数が小さくなりますのでこのメカニズムを知っていることが重要です。
④ 前線の作図
ここまでの問題から18時の東経141°付近に位置する前線は寒冷前線です。寒冷前線は下記のような構造を持ちます。

ここで図13で下に示した領域では等温線が立っており、温度の低い左(北西)側と、高い右(南東)側の差が大きいことがわかり、前線の特徴を示しています。また風向についても、北西風と、西北西~南西とで水平シアーも確認できます。

これらを分割するように前線面を作図すると以下のとおりです。

(5) 注意報の適用


24日9時と21時の水戸から約200kmの範囲を示しました。水戸市の降水量と風速についてはこの範囲の最大値を用いることになっているため、降水量は12時間で最大35mm、風速は最大35ノットとなります。また問題文に、24日21時までの6時間で7cmの降雪となっていますので、この降水は雨ではなく雪となります。7cmの降水と35ノットの風速はどちらも注意報レベルなので、大雪注意報や強風注意報、風雪注意報の可能性があります。

また、この降水の期間には気温がおよそ0℃付近で一定であるため、着雪や着氷も考えられます。
その他、(4)では、前線付近で強い上昇流となっていたので雷も考えられます。
よって、大雪注意報、強風注意報、風雪注意報、着氷注意報、着雪注意報、雷注意報のうち3つです。なお、着氷注意報と着雪注意報を両方書くのは控えたほうが良いでしょう。


















