第65回気象予報士試験 実技1 問1【過去問解説】

(1) 日本付近の気象概況

①台風の大きさの定義は下の表のようになっています。

階級風速 15 m/s以上の半径
大型(大きい)500 km以上~800 km未満
超大型(非常に大きい)800 km以上

図1の英文のところの記載から、風速30ノット(≒15m/s)以上の半径は、東側で180海里、西側で150海里となっています。1海里は約1.85kmなので、この台風の風速15m/s以上の半径は500kmには及ばず、強さを表現しません。答えはとなります。

②台風の強さの階級は下の表のようになっています。

階級最大風速
強い33 m/s(64ノット)以上~44 m/s(85ノット)未満
非常に強い44 m/s(85ノット)以上~54 m/s(105ノット)未満
猛烈な54 m/s(105ノット)以上

図1の英文から最大風速は65ノットであり、強い台風です。

台風の中心から潮岬までの距離は、地図上で4mmです。北緯30°から40°までの600海里の距離が地図上では、40mmということから、台風の中心から潮岬までの実際の距離は60海里だとわかります。6ノットの速さで進行すると、10時間で潮岬に到達します。

④台風の中心位置の確度は下記の表のような階級となります。

階級確度
正確(GOOD)概ね55km(30海里)以下
ほぼ正確(FAIR)概ね55km(30海里)超
概ね110km(60海里)以下
不確実(POOR)概ね110km(60海里)超

GOODの誤差は概ね30海里以下です。

⑤SLWの記載は、5ノット以下の移動の速さを表します。

⑥[TW]は海上台風警報です。

⑦[GW]は海上強風警報です。

⑧雨の強さの予報の用語は以下のように定義されています。

  • やや強い風: 10m/s以上~15m/s未満
  • 強い風: 15m/s以上~20m/s未満
  • 非常に強い風: 20m/s以上~30m/s未満
  • 猛烈な風: 30m/s以上

1ノット≒0.51m/sなので、25ノットはおよそ12m/sとなり、やや強い風と言えます。

⑨「強い雨、前1時間内に止み間なし」の現在天気の記号です。

⑩⑪気圧の変化は前3時間のものを表します。-33は、気圧が3.3hPa低下したことを示しますので、-3.3となります。

赤外画像は輝度温度が低い(≒高い高度にある)ものほど白く明るく表現されます。よって赤外画像に映る発達した白い部分は輝度温度が低いです。

(2) 台風と雲域

① 台風の雲域の変化

まず中心付近の雲域の特徴です。中心付近には台風の眼がありますので、これの9時と21時の違いを述べればよいです。台風の勢力が強いと、眼は小さく明瞭になる傾向にあります。一方で、台風が衰退していくと眼が大きく、ぼんやりとしてきます。これを踏まえて回答すると、下記のようになります。

どちらも台風の眼が見えるが、9時の眼の方が小さく明瞭である。(30字)

次に発達した対流雲の分布状況です。台風の眼の状況から、台風は弱まっていると考えます。

勢力の強い台風は、中心付近に雲が密度が高くまとまります。一方で勢力が弱まると、雲のまとまりが弱まり、赤外画像でもところどころ隙間が見えるようになってきます。今回のケースもそのようになっていますので、下記のようにまとめられます。

9時には台風の中心を囲んでほぼ円形に密集して分布しているが、21時にはらせん状で隙間がある。(44字)

② 台風の勢力と雲域

①で解説のとおり、弱まったと言えます。

(3) 台風と鉛直流及び湿数の分布

この問題では3つのことを聞かれていますので、それぞれ整理して答えていきます。

まずは700hPaの鉛直流の分布です。

台風の中心からおよそ150海里の範囲について赤丸で示します。この範囲では、ほぼ全域が網掛けとなっており、上昇流が広がっていることがわかります。また、問題文に鉛直流は値に言及するように記載がありますので、中心付近の-93hPa/hにも触れて解答します。

ほぼ全域で上昇流となっており、中心付近に-93hPa/hの極値がある。(35字)

次に700hPaの湿数の分布状況です。

こちらも台風の中心から150海里の範囲では、ほぼ全域が網掛けとなっていますので湿数3℃以下であることが言えます。字数制限が短いので簡潔に答えていきます。

ほぼ全域で湿数3℃以下となっている。(18字)

次に500hPaと850hPaの気温の分布についてです。図3と図4にて、台風の中心付近にWと書かれた領域が等温線に囲まれています。この部分は周囲より気温が高いことになります。これについても20字程度で簡潔にまとめますと

中心付近が周辺より高温となっている。(18字)

これら3つの解答は台風中心付近の典型的な特徴を示しています。台風の中心付近では上昇流が卓越し、湿数が小さく湿っています。また、台風の中心付近は、湿った空気の上昇による潜熱放出により、暖気核を伴います。