ドップラーレーダーは、電波の「ドップラー効果」を利用して、降水粒子の移動速度(=風)を観測する装置です。
1. 原理:ドップラー効果の応用
救急車が近づいてくるときはサイレンの音が高く聞こえ、遠ざかるときは低く聞こえる現象(ドップラー効果)を電波に応用しています。
観測の仕組み
- 発射: レーダーから一定の周波数の電波を発射します。
- 反射とシフト: 電波が雨粒に当たって跳ね返るとき、雨粒の動きによって周波数が変化します。
- 近づく雨粒: 周波数が高くなる(波長が縮む)。
- 遠ざかる雨粒: 周波数が低くなる(波長が伸びる)。
- 検出: 戻ってきた電波の周波数のズレを測定することで、雨粒が「どのくらいの速さで移動しているか」を算出します。
ドップラーレーダーの制約
ドップラーレーダーで測れるのは、雨粒の実際の移動速度すべてではありません。
「レーダーサイトに向かってくる、または遠ざかる方向の成分」しか測れないという物理的な限界があります。
- 測れる: ビームと平行な動き(近づく・遠ざかる)。
- 測れない: ビームに対して直角(横切る)方向の動き。
- ※横切る動きの成分は「0 m/s」として観測されます。
2. 大気の流れ(ドップラー速度)の見方
気象庁の表示方式を例に、ドップラー画像(風の分布図)の見方を解説します。
色のルール(気象庁標準)
レーダーを中心として、風がどう動いているかで色分けされます。
| 色 | 意味 | 状態 |
| 寒色系 (青・緑) | 負の値 (-) | レーダーに近づく風 |
| 暖色系 (赤・橙) | 正の値 (+) | レーダーから遠ざかる風 |
| 白 | ゼロ (0) | 静穏、または直角方向の風 |
一様な風の場合
上空で一様な西風(西から東へ吹く風)が吹いている場合、レーダー画面では以下のように見えます。

- 西側エリア: 風がレーダーに向かってくる $\rightarrow$ 青色(接近)
- 東側エリア: 風がレーダーから去っていく $\rightarrow$ 赤色(離散)
- 南北エリア: 風がビームを横切る $\rightarrow$ 白色(速度ゼロ領域)
3. 解析の例
ドップラーレーダーの最大の目的は、局地的な現象の検知です。以下のパターンは試験頻出です。
① メソサイクロン(竜巻の親雲)
積乱雲の中に「小規模な回転(渦)」がある場合です。

- パターン: 「接近(青)」と「離散(赤)」が隣り合っている。
- 配置: レーダーから見て、左側に「接近」、右側に「離散」のペアが見られ、渦付近のエコー強度が大きい。
- 現象: 竜巻やスーパーセルの兆候です。
③ シアーライン(風の急変域)
前線など、風向が急激に変わる場所です。

- パターン: 色の境界線がはっきりと線状に伸びる。
- 現象: このライン上で新たな積乱雲が発生することがよくあります。
まとめ:試験対策チェックリスト
- ドップラーレーダーは「視線方向の速度成分」のみを測定する。
- 寒色(青)は接近、暖色(赤)は離散を表す。
- 速度ゼロ(白)は、風がないか、風がレーダー方向とと直交している場合である。
学習のヒント:
「赤と青の配置」を見て、頭の中で風の矢印を描けるように練習しましょう。「青から入って赤へ抜ける」イメージを持つとわかりやすいです。
