第66回気象予報士試験 実技1 問2【過去問解説】

引用元:気象業務支援センター

(1) トラフの位置解析

引用元:気象業務支援センター
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図3と図7より、トラフはおよそ高度5220mを中心に解析され、12日9時には高度5220mで東経およそ115°、48時間後の14日9時には東経およそ145°付近にあります。

このトラフは48時間で30°東向きに動いていることがわかります。

よって、トラフが同じ速度で動いていると仮定すれば、24時間後には東経115°から15°程度動いた東経130°付近、36時間後には東経137°付近にあることになりますので、トラフの解析にあたって、目星をつけておきます。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

まず、24時間後のトラフについてです。東経125°付近の、5180mから5340m等高度線の曲率が大きくなっている部分にトラフを解析することができます。正の渦度の極大点である+213と表記されている部分を通るようにしながらトラフを作図してください。

東経130°付近と目星をつけていましたが、24時間後にかけては、トラフの移動速度が遅い予想のようです。この付近に+186とかかれた渦度極大点もありますが、等高度線の曲率が緩やかなため、+213の部分にトラフを解析するのが適当です。

このトラフの5220mの等高度線との交点は、東経125°となります。126°も許容値となっています。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

次に36時間後ですが、こちらも事前に目星をつけた東経137°付近で、等高度線の曲率が大きく、正渦度極大点があるところをさがすと、上の図のようにトラフを解析することができます。

破線から渦度の尾根に対応するようにトラフを解析すると、トラフは東西方向の走向になってしまいますが、等高度線の曲率の大きい部分が明瞭なことと、48時間後のトラフの走向がおよそ南北となるので、36時間後の走向が東西方向の走向となるのは不自然です。

よって36時間後の5220mの等高度線とトラフの交点は、東経134°です。133°も誤差として認められています。

(2) 温度移流

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① 温度移流と気温変化率

引用元:気象業務支援センター
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温度移流の種類とは、2種類しかありません。暖気移流か寒気移流かです。等温線を見ると、地点アの風は、-15℃の等温線から、-12℃の等温線に向かって吹いています。つまり温度の低い方から高い方に向かって移流が起きているため、移流の種類は寒気移流です。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

次に気温の変化率です。風の方向に沿った温度勾配を確認します。まず地点アを挟む-15℃および-12℃の等温線の風向に沿った距離を求めます。

600海里に相当する緯度10°が地図上で40mmです。上記の等温線の間隔は地図上で8mmであるため、実際の距離は

600海里×8mm/40mm=120海里となります。

等温線の一本あたりの差は3℃なので、温度勾配は120海里/3℃=40海里/℃となります。

ここで風速は矢羽の表記から45ノットであるため、空気塊は1時間あたり45海里動きます。

つまり、1時間あたりの温度移流は、45海里/40海里×1℃=1.125℃となります。

寒気移流で温度が下がるので、符号に注意しながら、1℃刻みで答えると、-1℃/hとなります。

② トラフと温度移流

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温度移流とトラフの位置の変化を知る必要があります。

まずそれぞれの時間帯の温度移流の大きさを比較していきます。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

まず24時間後である13日9時については、かろうじて寒気移流が見られますが、①でふれた36時間後の温度移流よりも明らかに弱いです。なぜなら、風は15ノットと弱く、等温線と交わる角度も小さい(等温線に沿った風向となっている)ためです。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

つづいて48時間後については、風速が40ノットとそこそこ大きく、風向も等温線に直角に近いため寒気移流が強そうですが、36時間後と比べると等温線の間隔が広いため、36時間後と比べると温度移流が弱いです。

よってこれらの時間帯で温度移流が一番大きいのは36時間後であることがわかります。

次にトラフの位置との対応です。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

南東進しているトラフは36時間後である13日21時頃に地点アに最も近づきます。

よって、36時間後に地点アの温度移流が最も大きく、トラフも地点アに最も近いことがわかりましたのでこれをまとめます。

寒気移流が続き、トラフの最も接近する36時間後に移流が最も強くなる。(34字)

(3) JPCZ

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① JPCZの鉛直流と気温分布

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引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

右の地上天気図のJPCZの位置を、左の天気図にトレースします。

まず鉛直流についてです。700hPa面では、JPCZに沿って網掛け部が位置しており、鉛直流は上昇流が分布していることがわかります。JPCZは収束帯なので上昇流域が卓越します。さらにJPCZの東側では鉛直流の大きさを表す破線が何本もあり、JPCZの東端ほど上昇流が大きいことを示しています。よって、

JPCZに沿って概ね上昇流域となり、上昇流は東ほど強い。(28字)

つぎに温度分布についてですが-12℃の等温線がJPCZの部分で上に凸となっており、周囲より温度が高いことを示しています。JPCZでは空気塊上昇時に凝結による潜熱が発出されるため、周囲より温度が高くなります。よって、

JPCZに沿って概ね温度場の尾根(相対的な高温域)となる。(20字)

② 等圧線と風向風速

引用元:気象業務支援センター
引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

地衡風であれば、等圧線に沿って低圧側を左側に見た風向となります。地点イで言えば、北東から南西に向かった風となります。

ただしこれは地上風であるため、摩擦力を考慮する必要があります。海上では、地上風は等圧線の走向よりも10°~20°低圧側に吹き込むような風向となります。よって地点イでは、北から南へ向かう風となるので、風向は、地点ウでも同様にして、西もしくは北西となります。

③ JPCZの動向

引用元:気象業務支援センター

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)
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24時間後である13日9時のJPCZを解析しています。等圧線がくの字に曲がっている部分に沿って解析できます。これは36時間後である13日21時と比較すると特に東側においては、側に位置していることがわかります。

イ 上述のJPCZは東経135°では、北緯38°付近です。37°も許容値です。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

48時間後のJPCZの位置も等圧線が不明瞭ながらもくの字になっているところを繋いで解析します。

西側は朝鮮半島の付け根あたりで、東側は近畿北部から中国地方に位置します。

④ JPCZと対流活動

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対流活動の強弱ということで、2つの時間帯のJPCZの鉛直流に注目します。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)
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36時間後である13日21時には、①でも触れたようにJPCZに沿って上昇流域が分布していました。これはJPCZの北側で北西の風、南側で西北西の風が強く、JPCZで収束しているためです。

一方48時間後である14日9時の時点ではJPCZ付近がすべて下降流となっています。風の水平シアーもほとんどありません。

よってこれらをまとめると

JPCZ付近では地上風の収束が弱まり(地上の気圧の谷が浅まり)、700hPaで下降流となるため。(35字)