(1) 前線の解析
① 前線面の高度
前線面の高度を求める問題です。
一般的な大気の成層状態は、上層ほど気温が低くなっていますが、前線の構造は下層に寒気、上層に暖気となっており、前線面付近では、逆転層や安定層(気温減率が小さい層)が生じます。
前線面はこの逆転層や安定層の上端(暖気側)と定義できます。

上の図で示した赤線の高度850hPaで、気温のグラフの傾き(気温減率)の変化点が見られます。
これより下層では湿潤断熱線よりも気温減率が小さく(グラフが立っている)、安定層と言えますが、上層は気温減率が大きい(グラフが寝ている)です。
よってこの850hPa付近が、前線に起因する安定層の上端と考えられるため、前線面の高度はこの850hPaとなります。
理由は上述のとおり、気温の安定層の上端であるため。(15字)
となります。
② 前線面と湿数
続いて、前線面より下層の湿数の特徴についてです。

上の図から、今回の湿数の鉛直分布の特徴としては、大きく2つの層にわけられます。
地表から920hPa付近では湿数(気温と露点温度の差)は下層ほど大きく上層ほど小さくなる傾向を示しています。
一方で、920hPa付近から前線面については、露点温度と気温はほぼ一致し、湿数は一様に小さいと言えます。
これらをまとめますと、
湿数は、前線面から920hPaまでは小さく、それより下層は高度が低いほど大きい。(40字)
③ 前線面の傾き

名瀬付近に停滞前線が東西に横断しています。この停滞前線の構造は、一般的な前線の構造から考えると南側の暖気が北側の寒気に乗り上げるような構造となっているはずです。②より、名瀬の上空に前線面があることから、断面を切ると下の図のようになります。

よって名瀬は地上前線の北側にあります。
④ 前線面の作図
前線面を作図する問題です。
21時以降に観測された風向で、東成分を含んでいるところを下記のように塗りつぶしています。

この塗りつぶした東成分の風を含む領域が、前線面の南側(前線面の上層)に含まれないようになめらかに作図すると下記の実線のように作図できます。

⑤ 前線の通過時刻
前線面は時間とともに地上に近づいています。問題の条件では、1時間前からの変化がつづくとなっているので、④で作図した前線面をそのまま地上まで伸ばします。

すると、前線面は3時30分頃に地上に到達するので、20分刻みで答えると、3時20分もしくは40分です。
⑥ 前線と温度移流
頻出の知識ですが、暖気移流は、上空に向かって風向が時計回りに変化している部分となります。

条件に示された10日21時から11日9時の範囲を緑で囲んでいます。その中で、上層に向かって風向が時計回りに変化しているのは赤で囲んでいる部分になります。よって、暖気移流となっているのは、この時間帯であり、10日21時0分から11日5時40分と、11日7時20分から11日9時0分となります。
(2) 古仁屋の気象状況

① 前線の通過時刻
前線付近の特徴として、風向のシアーがある、温度傾度が大きい、湿数が小さいということが上げられます。今回の前線の動きとしては、(1)より、前線が北上して通過しています。
上の図から、3:10ごろの変化を見ていきます。
風向については、それまで吹いていた前線の北側の東成分の風がなくなり、南風となっています。
気温については、(1)⑥で触れた前線の北側の暖気移流によりそれまで上昇していた気温の変化が、3:10ごろからは、変化がほとんどなくなっています。
湿数については、3時10分ごろに露点温度が最大となり、湿った空気となっていることがわかります。
これらをまとめますと、
露点温度がほぼ最大となり(気温の上昇は一旦止まり)、風向が南東から南に変わったため。(29字)
となります。
② シアーラインの通過と気象変化
シアーラインの通過時刻なので、まずは風向の変化がある時間帯について確認します。
青で示した5:30に、それまで南風だったものが、南西の風へと変化しています。
また、同じ時間帯に気温や露点温度も急激に下がり始めています。
よって、シアーラインの通過時刻は、5時30分で、その特徴は、
風向が南から南西へ変化し、気温、露点温度の低下が始まった。(29字)
③ 降水量の解析
棒グラフは10分間降水量を表すので、1時間降水量の最大は、棒グラフ6本分の合計が最大になったときの値です。黄色で示した、5:10から6:10の6本分の棒グラフの合計は、
3.5+7.0+5.5+8.0+9.5+5.0=38.5となるため、1時間降水量の最大は38.5mmです。
時間帯の考え方として、5:10から6:10の降水量は、6時10分の前1時間降水量です。
(3) 強雨域と暖湿空気
問題で示されている南西諸島付近の前12時間降水量が大きい部分は、下の図(図10下)で赤丸で囲んだ部分です。

これを図9の850hPaの予想図に重ね合わせますと下の図のようになります。

風向・風速・温度移流について答える問題ですが、雨が強い領域なので、この領域に対して、南からの暖湿空気が供給されているような構造になるのではないかと推測します。
それを踏まえて温度移流を確認すると、領域の南部の18℃の等温線をまたぐように、西南西の暖気移流が見られます(赤塗りつぶし部)。風速については、それぞれ35ノットと40ノットです。
これらをまとめますと、
西南西(南西)の35~40ノットの強い風が領域の南側から吹いており、暖気移流となっている。(41字)
ちなみにこの領域の中心部付近で風速が風速が弱く、南側の強い風との間で収束していることも強い雨となっている要因と考えられますが、解答の文字数を鑑みて上のような解答となっているようです。













