第63回気象予報士試験 実技2 問3【過去問解説】

(1) 台風の解析

① 台風の中心気圧

赤丸で囲んだところが気圧の最低値を観測しているところです。3桁の気圧表記は、気圧の十の位、一の位、小数第一位を示していますので解答は下記のようになります。

17時 996.7hPa 18時 997.2hPa 19時 1001.7hPa 20時 1002.6hPa

② 台風の通過方向

上の図で伊良湖の風向を青丸で囲んでいます。伊良湖の風向は17時から20時にかけて南→西→西北西→北西と時計(右)回りに変化しています。学科の復習ですが、台風の進行に伴い、進行方向の右側の観測点では、右回り、左側では左回りの風向変化となります。よって今回の場合、伊良湖は台風の側にあるといえます。理由は伊良湖の風向が時計回りに変化したため。となります。

③ 台風の中心位置の推定

この問題に関しては、中学校レベルの数学の図形の知識をよく覚えていれば解きやすいですが、忘れているとなかなか難しいかもしれません。直線A、直線Bと台風の関係は下記のようになります。

まず、浜松と四日市は気圧が011となっていますので、1001.1hPaであり、台風中心をとりまく等圧線は円形であることから、四日市と浜松は、台風中心を中心とする円周上にあることになります。この2点を結ぶ直線Bの中点を通る垂線である直線Aは四日市と浜松の中間点の集まり(直線A上のどこでも四日市と浜松が同距離となる)です。台風中心においても、浜松と四日市は同距離となるので、台風中心は直線A上にあるはずとなります。よって答えは、

台風の中心位置は直線A上に推定される。(19字)

数学の知識として、円の中心(台風の中心)弦(直線B)垂直二等分線(直線A)上にあるということを覚えていれば理解しやすいと思います。

(2) 台風の移動

20時の台風中心位置が確定しているので、そこから遡るように中心位置を推定していきます。

気圧の低いところにあたりをつけて、風向が反時計回りとなっている箇所の中心付近を台風中心とします。また(1)と矛盾しないように、伊良湖は進行経路の右側となるようにし、18時の中心位置は直線A上としますと下記のようになります。

17時:北緯34.9°東経136.8°

18時:北緯34.8°東経137.1°

19時:北緯34.7°東経137.3°

(3) 台風と気圧変化

伊良湖の18時の気圧は997.2hPaで17時の996.8hPaよりも高くなっています。台風中心が近づいているのになぜでしょうか?今回の試験は、衰弱傾向の台風がテーマとなっています。20日9時には中心気圧は992hPaですが、21時には1004hPaまで衰弱する予想です。台風中心が近づいても中心気圧が高くなれば、観測点の気圧も高くなります。まとめると、

台風中心は伊良湖に近づいたが、台風が衰弱し中心気圧の上昇が大きかったため。(37字)

(4) 気温変化と気圧


20時の気圧については青丸で囲んだところにおいて、大きく気圧が上昇しています。

850hPaの温度と比べると、20日21時では9時と比較して、青丸部分の等圧線が北からくさび形になり、寒気が入り込んでいることがわかります。寒気は、密度が大きく重いので、寒気流入により、地上の気圧が高くなります。よって、

関東地方北部(および長野県の中部)に、寒気が流入する。(16字)

(5) 台風と強雨域の変化

レーダーエコー図に台風中心を落とし込んでいます。17時には台風中心付近に赤いエリアがあり、中心付近の雨が強いことがわかります。時間の経過により、雨は弱まり、20時には水色の領域となります。

また、破線で示した台風中心の東側に離れた帯状の領域は、17時には主に緑色ですが20時には赤いエリアも目立ち、こちらの領域の雨は強まっていることがわかります。これらをうまくまとめると、

中心付近の強雨域は急速に弱まるが、中心から離れた御前崎の南東の帯状の強雨域は北東進し強まっていく。(49字)

このように温帯低気圧化する台風では、中心付近から離れたところで雨や風が強くなることがあります。