第64回実技2 問4(1)

①華北から東シナ海の範囲で2本のトラフを解析します。5760mの等高度線の曲率が大きい部分と渦度が大きい部分(破線の等渦度線を参考に)を通すように作図すると以下のようになります。

トラフが5760mの等高度線と交わる点はそれぞれ、

北緯35°、東経120°

北緯33°、東経126°です。

②活発な前線付近の、気温、風、温度移流、上昇流の特徴としては、下記のようになります。

気温…寒気と暖気の境界となるため温度傾度が大きい。

温度移流と風…前線付近での強い風により暖気や寒気が活発に供給される。

上昇流…寒気の上に暖気乗り上げる形となるため、強い上昇流となる。

以上のような特徴をもつ領域は、下の図の赤丸部のとなります。

赤丸で示した部分では、温度傾度が大きく、強い南風による暖気移流となっており、上昇流域(網掛け部)が広がっています。

よって、この領域は5°刻みで答えると、北緯30°、東経135°となります。

理由は上述の通りまとめて下記のとおりです。

850hPaの12℃~15℃で南北の温度傾度が大きく、強い南風による暖気移流が強く、700hPaの上昇流が大きいため。(45字)

③トラフは前線活動が活発な領域の西北西にあることがわかります。

図1で東シナ海にある低気圧の位置を11日9時の予想図に落とし込むと以下のようになります。

低気圧は12時間で地図上では9mm移動しています。北緯30°から40°の距離600海里が、地図上では40mmであることから、実際の低気圧の移動距離は、

600海里×9mm/40mm=135海里となります。

移動速度は、135海里/12時間=11.25ノットとなり、5ノット刻みでは10ノットとなります。

移動方向は東北東です。

こちらも④と同様に、12日9時の低気圧の位置を12日21時の予想図に落とし込みます。

低気圧は地図上で19mm移動していることから、実際の移動距離は、

600海里×19mm/40mm=285海里となり、

移動速度は285海里/12時間=23.75ノットとなりますので25ノットが正解です。

移動方向は北東です。

⑥11日9時のトラフと低気圧の位置関係は以下のとおりです。

11日9時の時点では、トラフは低気圧よりも西側にあります。問題では、低気圧が衰弱する理由を答えるので、このトラフが低気圧を追い越すような形になっていくという想像がつきます。

実際に36時間後の12日9時の低気圧とトラフの位置関係は上の図のようになります。2本のトラフが低気圧を追い越し、北東側に位置しているのがわかります。よって答えは、

トラフは、低気圧中心の北から北東に離れていく。(23字)

ア 12日9時から21時の12時間の移動速度から、11日9時の低気圧の位置を求めると以下のようになります。

12時間で19mm移動していますので、さらに24時間前の低気圧の位置は、そのまま2倍の38mm引き伸ばした位置となります。よって、北緯28°、東経132°となります。

イ 下の図の通り、②で求めた前線活動が活発な領域付近を見てみます。

前線活動が活発な部分の中心付近で気圧の谷が張り出している部分が解答になります。移動速度から求めた低気圧中心(茶色)と少しずれる形となり、北緯31°、東経133°が解答です。

⑧図10の下より⑦のイの気圧は1008hPaで、図11の下より12日9時の気圧は1000hPaですので、+8hPaとなります。