①

前線の転移層は、前線面付近で下層の寒気層と上層の暖気層の間の部分となります。この付近では上層に暖気層があるため、上層ほど気温が高くなる逆転層であったり、逆転層とまでいかなくても気温減率が小さい層であったりします。また、前線付近では暖気が上昇することで湿潤となります。
図4の中で逆転層で、湿潤(露点温度と気温の差が小さい)層は、630hPa~650hPaの層です。つまり上端は630hPa、厚さは20hPaです。
また、指定高度の比例配分からm単位で厚さを求めます。700hPa面は3070m、600hPa面は4270mであり、700hPa~600hPaの100hPaの厚さが1200mですので、この付近では10hPaあたり120mの高度差となります。転移層の厚さ20hPaは240mの厚さとなります。
②

前線面は転移層の暖気側、すなわち転移層の上端となります。福岡での前線面高度は630hPaですが、①で求めたように10hPaあたり120mの高度差があることを用いて、m単位では3910mであることがわかります。
福岡から、500km離れた地上の前線への前線面の断面図は以下のようになります。

3910/500000の傾斜となりますので、1/Fの形にするには、3910/500000の分母と分子を3910で割ります。すると10km刻みで、1/130となります。
次に地上の前線帯の長さです。求める前線帯は以下の図の「?」の部分です。

転移層の厚さは前問から240mとわかっています。また、前線帯付近でも前線面傾斜は一定で、水平距離130に対し高さが1となりますので前線帯の長さは240m×130=31200mとなり、10km単位では30kmです。
③福岡付近では、雲頂高度が高く、中・上層雲が主体であることが(1)よりわかっています。図4においても湿数3℃以下の領域は中・上層に限られています。転移層との位置関係としては、転移層から上の層が湿潤であることがわかります。これは上述の通り、前線面を空気塊が滑昇することにより冷やされ凝結することによるものです。よって答えは、
湿潤層は転移層から上層(上方)にかけて分布している。(22字)
④福岡付近の上空の雲の成因についてです。これも上述の通りですが詳しく見ていきます。

問題文にもありますが、福岡付近に東シナ海から南西風が吹付け暖気移流となっていることがわかります。これを断面図でみると以下のようになります。

東シナ海からの暖気が前線面を滑昇し、空気塊は冷やされ凝結すると言えます。よって、
東シナ海から前線面を滑昇した空気中の水蒸気が凝結したため。(29字)