第57回実技1 問1(3)

①(1)でも触れていますが、図1より、低気圧は20ノットの速さで東北東に進んでいることがわかります。したがって、14日9時(12時間前)の低気圧の位置は、現在の位置から西南西に240海里(20ノット×12時間)戻ったところになります。600海里の地図上の長さを測ると43mmです。240海里は600海里の0.4倍ですから、240海里の地図上の長さは43mm×0.4=17.2mmということになります。

よって14日21時の低気圧中心の位置から17mm西南西にもどったところが14日9時の低気圧中心の位置となりますので、北緯28°、東経125°が解答となります。

②問題文に前線も低気圧と同じ速度で移動していると書かれていますので、12時間前の前線においても、①で求めたように西南西に17mm戻った位置にあると言えます。また、温暖前線は18℃と15℃の等温線の中間にあるとのことですので、18℃と15℃の等温線の中間から西北西に17mm戻った点が東経130°の経線と一致する点を探します。すると上の☓の点で一致しますので、東経130°の経線の位置を読み取り、答えは北緯29°となります。

③まず気温についてですが、前線付近では、寒気層の上層に暖気層がある構造となっていますので、前線付近には上層に向かって気温が高くなる逆転層が存在することになります。これは寒気層と暖気層の境目である転移層です。また、前線面の定義として、この転移層の暖気側の境界ということになっていますので、上の図で示した920hPaが前線面の高度となります。

したがって、気温に関する理由については、

明確な気温の逆転層があり、前線面はその上端にあたるため。(28字)

となります。

風向に関してですが、920hPaに前線面がある理由として、この高度付近で風向が大きく変わることがあげられます。また、温暖前線であることに関連付けて理由を答えるように指示がありますので、この前線面付近で暖気移流、すなわち風向が上層に向かって時計回りに変化していることについても触れていきます。したがって解答は、

上空に向かい時計回りに変化しており、その変化が特に大きいため。(31字)

となります。

④まずは14日9時の前線面の位置について、考えていきます。

②で求めたように、14日9時の850hPaの前線面の位置は、14日21時の前線面の位置である18℃と15℃の等温線の中間の西南西に地図上で17mmの位置にあることがわかります。850hPa面では名瀬と鹿児島の間に温暖前線面が位置することになります。一方で図5の地点では前線面の高度はこれより低く、920hPaの位置にあることが④でわかっています。温暖前線面は北側に向かって高くなるので、下記のような位置関係になります。

つまり、図5は850hPaの前線面の位置より南側にある名瀬のエマグラムです。