週間アンサンブル予報は、気象庁の「全球アンサンブル予報システム (GEPS)」の計算結果をもとに作成されます。
単独のモデル(決定論的予報)ではなく、多数のメンバー(シナリオ)の平均やばらつきを見ることで、予報の信頼度を判断します。
1. 週間アンサンブル予報の仕様
ベースとなっているモデル(GEPS)のスペックです。
- 対象領域: 全球(地球全体)。
- 水平解像度: 約 27km。
- ※GSM(13km)より粗いため、小さな地形の影響などは表現しきれないことがあります。
- メンバー数:51メンバー(コントロール1 + 摂動メンバー50)。
- 51通りの計算を行い、その平均値(アンサンブル平均)や、雨を予想したメンバーの数(頻度)を利用します。
- 予報期間: 11日間。
2. 500hPa高度・渦度(平均図)
実技試験で最もよく見る図の一つです。「上空の気圧の谷(トラフ)」や「偏西風の蛇行」を把握するために使います。
図の構成
- 実線(等高度線): 51メンバーのアンサンブル平均した500hPa高度。
- 色・陰影(渦度): アンサンブル平均した渦度(正の領域=反時計回りの回転)。
読み方のポイント
- トラフの追跡: 渦度の極大域(色が濃い部分)と、等高度線のくぼみをセットで追跡します。トラフが低気圧の西側にある場合に低気圧が発達しやすいです。
- 平均化の注意点:
- メンバーごとにトラフの位置が少しずつズレている場合、平均をとるとトラフが浅く(ならされて)表現されます。
- 「図上では浅い谷に見えるが、実際には鋭い谷が通過して荒天になる可能性がある」という読みが必要です。
- ブロッキング: 偏西風が大きく蛇行していないかを確認します。
3. 850hPa相当温位(平均図)
地上の「気温」や「前線」の位置を推定するために使います。
図の構成
- 実線: アンサンブル平均した850hPa面の等相当温位線。
読み方のポイント
- 前線の位置: 等相当温位線が混んでいる(集中している)場所の南縁(暖気側)に前線が解析されることが多いです。
- 特に330K以上の領域は、大雨になりやすい暖湿気が入っている目安とされます(※季節による)。
- 寒気の流入: 相当温位の低い領域が南下していれば、気温の低下が予想されます。
4. 500hPa特定高度線・スプレッド・降水予想頻度
この図は「予報の確からしさ(信頼度)」と「雨の確率」を判断するための複合図です。
① 特定高度線
季節ごとの目安となる高度線(等高線)を、全メンバー分(あるいは代表的なばらつき)表示したものです。
- 夏(5880m): 太平洋高気圧の縁辺を示します。この線が日本を覆っていれば晴れ、北にあれば猛暑、南にあれば冷夏などの目安になります。
- 冬(5400m, 5100mなど): 寒気の南下目安。寒帯前線ジェット気流の位置に対応します。
② スプレッド
- 意味: メンバー間のばらつきの大きさ(標準偏差)。
- スプレッドが大きい: 予報が難しくメンバーのばらつきが大きい。信頼度が低い。
- スプレッドが小さい: メンバーが揃っている。信頼度が高い。
③ 降水頻度分布
- 意味: 51メンバーのうち、「何%のメンバーが雨(5mm以上)を予想しているか」を破線の範囲で示します。50%以上の範囲は塗りつぶされています。
- 読み方:
- この頻度が高いエリアは、天気予報での「降水確率」も高くなります。
- 決定論的予報(MSMなど)で雨が予想されていなくても、この頻度が高ければ「雨のリスクあり」と判断します。
まとめ:試験対策チェックリスト
- メンバー数は51。平均をとることでランダム誤差を消している。
- アンサンブル平均図では、気圧の谷や低気圧は「ならされ(弱く・浅く)」表現される傾向がある。
- スプレッドが大きい場所は、予報の信頼度が低い。
- 850hPa相当温位の集中帯は、前線に対応する。
- 特定高度線(夏は5880mなど)の張り出し具合で、季節予報を行う。
