降水短時間予報は、現在から少し先(半日後くらいまで)の雨量を、非常に細かいメッシュで予測する情報です。大雨災害時の避難判断や、ダムの操作などに利用されています。
1. 降水短時間予報とは
基本スペック(数字を暗記)
- 予報対象: 1時間ごとの降水量(前1時間積算降水量)。
- 予報期間:15時間先まで。
- ※以前は6時間でしたが、現在は15時間に延長されています。
- 更新頻度: 6時間先まで10分ごと。7時間先から15時間先までは1時間ごと。
- 解像度: 6時間先までは1kmメッシュ。7時間先から15時間先までは5kmメッシュ。
ナウキャストとの違い
降水短時間予報との最大の違いは更新頻度と元データです。
- ナウキャスト: 5分更新。速報性重視。
- 降水短時間予報: 10分更新。複数の数値予報モデル(MSM, LFM)から雨雲の発生なども踏まえて比較的長い期間の予報を行う。
2. 予測手法
降水短時間予報の最大の特徴は、時間が経過するにつれて「予測の作り方」を徐々に変えている点です。
2つの予測手法のブレンド
以下の2つの手法を、時間の経過とともに重み付けを変えて合成しています。
① 補外予報モデル(外挿)
- 仕組み: 「今降っている雨雲が、そのまま風に流されて移動する」と仮定して予測する方法。
- 得意: 直近(1〜3時間先)。実況を忠実に反映するため、初期の精度は非常に高い。
- 苦手: 時間が経つと、雨雲が発生・衰退するため、精度が急激に落ちる。
② 数値予報モデル(MSM・LFM)
- 仕組み: 物理法則(方程式)を使って、新しい雨雲の発生や発達を計算する方法。
- 得意: 長い時間(6時間以降)。地形による雨や、これから発生する雨雲を予測できる。
- 苦手: 初期時刻の「ズレ(スピンアップなど)」があるため、直近の予報は実況(レーダー)に劣ることがある。
時間経過による合成の変化(イメージ)
予報時間の経過に伴い、以下のように信頼するデータをシフトさせていきます。
| 予報時間 | メインの手法 | 考え方 |
| 開始 〜 3時間 | 補外重視 | 「今見えている雨雲」がどう動くかが一番正しい。 |
| 3時間 〜 7時間 | 徐々に数値予報を合成 | 移流の割合を減らし、数値予報の割合を徐々に増やしていく(加重平均)。 |
| 7時間 〜 15時間 | 数値予報 重視 | 今ある雨雲は消え、新しい雨雲ができているはずなので、MSMやLFMの結果を全面的に採用する。 |
使われている観測データとモデル
精度の高い予測を作るために、利用可能なあらゆるデータを使っています。
- 実況把握(初期値): 気象レーダー、雨量計(アメダス等)、気象衛星、ウィンドプロファイラ、ラジオゾンデ。
- これらを組み合わせて作った「解析雨量」がスタート地点になります。
- 予測モデル: メソモデル (MSM)、局地モデル (LFM)。
まとめ:試験対策チェックリスト
- 予報期間は15時間、更新は6時間先まで10分ごと。それ以降は1時間ごと。
- 解像度は6時間先までは1kmメッシュ。それ以降は5kmメッシュ。
- 予報の前半は「補外(実況の移動)」を重視する。
- 予報の後半は「数値予報(MSM/LFM)」を重視する。
- 予測対象は、瞬間的な強さではなく「1時間降水量」である。
