11-5 気象業務法における罰則

罰則は、その違反の重大性に応じて重い順に定められています。最も重い「設備の破壊」から、比較的軽い「届出忘れ」まで、4つのランクに整理できます。

1. Sランク:設備の損壊等(第44条)

気象業務の根幹である観測網を物理的に破壊する行為は、悪質なため最も重い罪となります。

  • 違反行為:
    • 気象庁の気象測器や無線設備を破壊し、または保存を妨害した者。
  • 罰則:
    • 3年以下の懲役 又は 100万円以下の罰金

2. Aランク:無許可の予報や警報(第45条・46条)

社会的に大きな混乱を招く行為です。「懲役刑」が含まれているのが特徴です。

  • 違反行為:
    • 無許可で予報業務を行った者(第17条違反)。
    • 気象庁以外の者が独自の「警報」を行った者(第23条違反)。
    • 業務停止命令に違反した者。
    • 検定に合格していない測器を販売する目的で「検定証印」などを偽造して付した者。
  • 罰則:
    • 1年以下の懲役 又は 50万円以下の罰金

試験のポイント:

「無許可の予報業務」と「勝手な警報発表」は、社会への悪影響が大きいため、懲役刑の可能性がある重い罪です。


3. Bランク:測器の不正使用・予報士の不設置(第47条)

ここからは「懲役」がなくなり、「罰金」のみになります。実務的なルールの違反です。

  • 違反行為:
    • 義務がある観測において、検定に合格していない測器を使用した場合(第9条違反)。
    • 予報業務の許可を受けた内容(目的や範囲)を、認可を受けずに変更して行った場合。
    • 予報業務において、気象予報士に現象の予想を行わせなかった場合。
  • 罰則:
    • 50万円以下の罰金

試験のポイント:

「検定切れの温度計を使った」ケースはここに入ります。懲役はありませんが、50万円以下の罰金という刑事罰です。


4. Cランク:届出違反・報告違反(第48条)

手続き上のミスや、報告義務の怠慢などが該当します。

  • 違反行為:
    • 気象庁長官への報告を怠った場合(船舶・航空機など)。
    • 立入検査を拒んだり、妨害した場合。
    • 予報業務の休止・廃止の届出を怠った場合。
    • 観測施設の設置・変更等の届出を怠った場合。
  • 罰則:
    • 30万円以下の罰金

罰則まとめ一覧表

試験直前の暗記用に活用してください。

ランク違反行為の例(キーワード)罰則の内容
S (最重)●気象測器・無線設備の破壊
●その未遂
3年以下の懲役
又は100万円以下の罰金
A (重)無許可で予報業務
●独自の警報を発表
●業務停止命令違反
●検定証印の偽造
1年以下の懲役
又は50万円以下の罰金
B (中)無検定測器の使用(観測時)
●認可を受けずに予報業務の内容変更
気象予報士を置かない・予想させない
50万円以下の罰金
(懲役なし)
C (軽)報告の虚偽・怠慢
立入検査の拒否
●住所変更や廃止の届出忘れ
30万円以下の罰金
(懲役なし)

補足:両罰規定(第49条)

法人の従業員が違反をした場合、実行した本人だけでなく、会社(法人)も罰せられる規定です。

  • 対象: 第44条(破壊)、第45条(無許可営業など)、第46条(警報制限違反など)、第47条、第48条。
  • つまり、上記の刑事罰は、会社ぐるみで行った場合、会社にも罰金刑が科されます。