天気予報をビジネスとして行う(予報業務)ためには、勝手に行ってはならず、気象庁長官の許可が必要です。これには、誤った予報による社会的な混乱を防ぐ目的があります。
1. 予報業務の許可とは(第17条)
気象庁以外の者が、気象、地象、津波、高潮、波浪または洪水の予報の業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければなりません。
試験のポイント:許可が必要なケース・不要なケース
- 「業務」とは: 「反復・継続」して行うこと。有償か無償か(金銭の授受)は関係ありません。
- $\times$ 許可不要: 運動会の実行委員が、当日の開催判断のために独自に天気を予想する(一回限り、身内のみ)。
- $\bigcirc$ 許可必要: 毎朝、近隣住民に無料で天気予報を配る(反復継続しているため)。
- $\bigcirc$ 許可必要: 特定の契約企業だけに、有料でピンポイント予報を送る。
- 対象: 「予報」は許可が必要ですが、「観測結果の提供(実況)」だけなら許可は不要です。
2. 許可の基準(第18条)
予報業務の許可を受けるためには、以下の4つの基準をすべて満たす必要があります。試験では「人・物・情報の要件」が問われます。
| 区分 | 基準の内容 | キーワード |
| 1. データ収集 | 気象庁の防災気象情報や、観測データを適切に受けることができる施設・設備を持っていること。 | 受信設備 |
| 2. 解析能力 | 予報資料を解析し、独自の予報を作成できる施設・設備(コンピュータや解析ソフトなど)を持っていること。 | 解析設備 |
| 3. 人材(予報士) | 予報業務を行う事業所ごとに、気象予報士を置くこと(※詳細は後述)。 | 気象予報士の設置 |
| 4. 欠格事由 | 過去に許可を取り消されて2年以内の者や、破産者などで復権を得ない者でないこと。 | 欠格事由 |
注意: 「法人(会社)でなければならない」という決まりはありません。個人でも基準を満たせば許可を取得できます。
3. 気象予報士の設置義務と役割(第19条の2・3)
ここが最も出題される部分です。単に「いればいい」わけではありません。
3.1 設置のルール
- 人数: 事業所ごとに、予報業務を行う時間帯に応じて、必要な人数の気象予報士を置かなければなりません。(8時間以下:2人、8時間を超え16時間以下:3人、16時間を超える:4人)
- 義務: 予報業務のうち、「現象の予想」は、必ず気象予報士に行わせなければなりません。
3.2 予報士ができること・できないこと
試験では、予報士の独占業務の範囲が問われます。
- 予報士がやること(独占業務): 「現象の予想」(解析をして、明日は晴れる、気温は何度になると判断すること)。
- 予報士でなくてもよいこと:
- 観測データの収集・整理。
- 出来上がった予報の伝達・発表(キャスターが予報士である必要はない)。
- 解説(予報文を読み上げたり、天気の仕組みを説明したりすること)。
4. 変更の認可と届出(第19条・20条)
許可を受けた内容を変える場合、その内容の重要度によって「認可(事前に許可をもらう)」か「届出(事後に報告する)」かが分かれます。
| 変更内容 | 手続きの種類 | 提出時期 | 理由 |
| 目的(一般向けor特定向け) 範囲(予報するエリアや現象) | 変更の認可 | あらかじめ | 予報の根幹に関わり、審査が必要だから。 |
| 氏名・名称・住所 法人の役員の氏名 | 変更の届出 | 変更後30日以内 | 事務的な変更なので事後で良い。 |
| 事業の廃止 | 廃止の届出 | 廃止後30日以内 | 廃止なので事後で良い。 |
5. 業務改善命令と許可の取消し(第20条の2・21条)
予報業務許可事業者がルール違反をした場合、気象庁長官は以下の処分を行えます。
- 業務改善命令: 施設や予報士の確保が基準を満たさなくなった場合、改善を命じることができます。
- 業務停止命令・許可の取消し:
- 改善命令に従わなかった場合。
- 気象予報士に「現象の予想」を行わせなかった場合。
- 独自の「警報」を発表した場合。
絶対禁止事項:独自の警報・注意報
民間事業者は、どれほど危険が迫っていても、「警報」「注意報」という名称を使用した予報を行ってはなりません。
- これらは気象庁の独占権限です。
- ただし、「暴風が吹き荒れる恐れがあります」といった具体的な表現で危険を伝えることは可能です(名称を使わなければOK)。
- 義務として、利用者に対して気象庁の警報・注意報を迅速に伝達しなければなりません。
まとめ:試験対策チェックリスト
試験でのひっかけポイントを確認しましょう。
- 個人でも許可は取れる(法人限定ではない)。
- お金をもらっていなくても、反復継続すれば「業務」となり許可が必要。
- 地震・火山の予報は、気象庁以外は行えない(許可の対象外)。
- 予報士の仕事は「現象の予想」。テレビで喋るのは予報士でなくてもいい。
- 予報の「目的」や「範囲」を変えるときは、事前の「認可」が必要。
- 民間事業者は「◯◯警報」を出してはいけない。
