気候変動とは、気温や降水量などの気候の状態が、長期にわたって変化する現象のことです。その要因は大きく「自然の要因(地学的)」と「人間の活動による要因(人為的)」に分けられます。また、数年ごとの自然な揺らぎとして「エルニーニョ・ラニーニャ現象」も重要な要素です。
1. 地学的要因(自然要因)
人間活動以前から、地球の気候は寒冷な氷河期と温暖な間氷期を繰り返してきました。これには地球天文学的なスケールの要因が関わっています。
1.1 ミランコビッチ・サイクル
地球が太陽の周りを回る軌道や、自転軸の傾きは、数万〜10万年周期で規則的に変化しています。これにより、地球が受け取る太陽エネルギーの量が変化し、氷河期の到来などを引き起こします。
- 離心率の変化(約10万年周期): 地球の公転軌道の形が、円に近い形から楕円形へと変化します。
- 自転軸の傾きの変化(約4万年周期): 地転軸の傾き(現在は23.4度)が、約22度〜24.5度の間で変動します。傾きが大きいほど季節変化が激しくなります。
- 歳差運動(約2万年周期): コマの首振り運動のように、自転軸の向きが回転します。
1.2 火山活動と太陽活動
- 火山噴火: 大規模な噴火が起こると、成層圏まで巻き上げられた火山灰や硫酸エアロゾルが太陽光を遮ります(日傘効果)。これにより、数年間にわたって地球全体の気温を下げる働きがあります。
- 太陽活動: 太陽の黒点数の増減(約11年周期など)に伴い、太陽から放出されるエネルギー量自体が変動します。
2. 人為的要因(地球温暖化)
産業革命以降、人間の活動によって引き起こされている急激な気温上昇です。地学的要因に比べて、変化のスピードが極めて速いのが特徴です。
2.1 温室効果ガスの増加
地球の気温は、太陽から入ってくる熱(可視光線)と、地球から宇宙へ逃げていく熱(赤外線)のバランスで決まります。
- 温室効果のメカニズム: 二酸化炭素($CO_2$)、メタン($CH_4$)、一酸化二窒素($N_2O$)などの気体は、太陽光は通しますが、地球から出る赤外線を吸収し、再び地表に向けて放射する性質があります。これを温室効果と呼びます。
- 現状: 化石燃料(石炭・石油)の燃焼や森林破壊により、これらの濃度が急増しており、熱が地球にこもることで気温が上昇しています。
2.2 エアロゾルの効果
工場や自動車から排出される大気汚染物質(エアロゾル)の中には、太陽光を反射して地表を冷やす効果を持つものもあります(冷却効果)。しかし、現在は温室効果ガスによる昇温効果の方が遥かに大きいため、全体として温暖化が進んでいます。
3. エルニーニョ現象とラニーニャ現象
これらは「一方向への温暖化」ではなく、数年ごとに繰り返される自然の気候変動(ゆらぎ)です。太平洋の赤道域における海洋と大気の相互作用によって発生し、世界中に異常気象をもたらします。
通常の状態(平年)

赤道付近では東風(貿易風)が吹いているため、海面付近の暖かい水は西側(インドネシア側)に吹き寄せられています。そのため、西太平洋で雲が発生しやすくなっています。
3.1 エルニーニョ現象

- メカニズム: 貿易風が弱まることで発生します。
- 西側に溜まっていた暖かい水が東側(南米ペルー沖)へ広がります。
- その結果、通常は冷たいペルー沖の海面水温が高くなります。
- 活発な積乱雲の発生場所が、通常より東(日付変更線付近)へずれます。
- 日本への影響:
- 冷夏: 太平洋高気圧の張り出しが弱くなるため、夏は気温が上がりにくくなります。
- 暖冬: 西高東低の冬型の気圧配置が弱まりやすくなります。
3.2 ラニーニャ現象

- メカニズム: 貿易風が強まることで発生します(エルニーニョの逆)。
- 暖かい水がさらに強く西側へ押しやられます。
- その結果、インドネシア近海の水温が平年より高くなり、ペルー沖の水温は低くなります。
- 積乱雲の発生場所が、通常よりさらに西(インドネシア寄り)になります。
- 日本への影響:
- 猛暑: 太平洋高気圧が北へ強く張り出すため、夏は非常に暑くなります。
- 厳冬: 偏西風が蛇行し、寒気が日本付近に流れ込みやすくなるため、冬は寒くなります。
