1-1 大気の鉛直構造:4つの層と気温の変化

地球の大気は、地上から高さ約100km以上まで広がっていますが、「高度とともに気温がどう変化するか」によって、下から順に対流圏・成層圏・中間圏・熱圏の4つの層に区分されます。

まずは、全体のイメージを以下の図で確認しましょう。気温のグラフが「ジグザグ」になっているのが特徴です。

1. 対流圏

私たちが生活し、雨や雲などの気象現象が起こる領域です。

  • 高さ: 地表 〜 10〜16km
    • 試験対策: 圏界面の高さは緯度と季節で変わります。
    • 赤道付近: 約16km(高い)
    • 極付近: 約8km(低い)
    • 夏は高く、冬は低くなります。
  • 気温の変化:高度とともに低下する
    • 割合(気温減率)は、平均して100mにつき約0.65℃下がります。
  • 熱源(理由):
    • 太陽の光で暖められた**「地表面」からの熱**を受け取るため、地面に近いほど暖かく、離れるほど寒くなります。
  • 特徴:
    • 大気全体の質量の約80%と、水蒸気のほとんどがこの層に存在します。
    • 空気が上下によく混ざる(対流する)ため、雲や降水などの気象現象が発生します。

2. 成層圏

対流圏の上に広がる、非常に安定した層です。

  • 高さ: 対流圏界面 〜 約50km
  • 気温の変化:高度とともに上昇する
    • 下部はほぼ一定(等温層)ですが、上に行くほど気温が上がります。成層圏界面(約50km)では0℃近くまで上がることがあります。
  • 熱源(理由):
    • 高度20〜30km付近に存在するオゾン層が、太陽からの紫外線を吸収して熱を出すためです。
  • 特徴:
    • 下冷上暖(下が冷たく上が暖かい)の構造のため、対流が起こりにくく、空気が安定しています(=成層)。
    • 雲はほとんど発生しませんが、稀に「真珠母雲(極成層圏雲)」が見られることがあります。

3. 中間圏

大気中で最も低温になる領域です。

  • 高さ: 成層圏界面 〜 約80km
  • 気温の変化: 高度とともに再び低下する
  • 熱源(理由):
    • オゾン層のような熱源がなく、下の成層圏からも遠ざかるため、上に行くほど冷えます。
  • 特徴:
    • 上端の中間圏界面付近では、気温がマイナス90℃以下になり、地球の大気中で最も寒冷な場所となります。
    • 夏の高緯度地方では、この付近に「夜光雲」が発生することがあります。

4. 熱圏

宇宙空間へと続く、極めて空気の薄い層です。

  • 高さ: 中間圏界面(約80km) 〜 500km以上
  • 気温の変化:高度とともに急激に上昇する
    • 上部では1000℃〜2000℃に達することもあります。
    • 注意: 気温(分子の運動エネルギー)は高いですが、空気が極端に薄いため、肌で感じる「暑さ」とは異なります。
  • 熱源(理由):
    • 酸素原子や窒素分子が、太陽からの強力なX線や極端紫外線を吸収するためです。
  • 特徴:
    • 電離層(D層、E層、F層)が存在し、電波通信に影響を与えます。
    • 高緯度地方ではオーロラが観測されます。

5. まとめ:試験に出る比較表

層の名前高さの目安気温の変化気温変化の要因主な現象
熱圏80km〜 上昇太陽X線・紫外線の吸収オーロラ、電離層
中間圏50〜80km 低下熱源から遠ざかる夜光雲、最低気温
成層圏11〜50km 上昇オゾンによる紫外線吸収オゾン層
対流圏0〜11km 低下地表面からの加熱気象現象(雲・雨)

補足:圏界面について

各層の境界を「〇〇圏界面」と呼びます。

特に重要なのが、対流圏と成層圏の境目である「対流圏界面」です。

対流圏界面の「折れ曲がり」付近では、成層圏の空気が対流圏に漏れ出すことがあります。