第66回気象予報士試験 実技2 問1【過去問解説】

引用元:気象業務支援センター

(1) 日本の気象概況

引用元:気象業務支援センター
引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

①台風の大きさの定義は、風速15m/s以上の強風域の範囲の半径で決められています。強風域の半径が800km以上であれば超大型、500km以上800km未満であれば大型となります。なお500km未満でも小型とは呼ばれません。

風速15m/sはおよそ30ノットであり、右下の英文から30ノットの範囲の直径は350海里+240海里=590海里であり、半径はその半分の295海里であることが読み取れます。

1海里は約1.85kmであることから、強風域の半径は295×1.85≒545となり、答えは大型のとなります。

②NNE 11KTとあるので、北北東へ11ノットで進んでいることがわかります。

③1ノットは約0.51m/sなので、50ノットは50×0.51≒25.5となり、5刻みの整数では、25m/sとなります。

④[SW]と書かれているので海上暴風警報です。

⑤こちらは[GW]となっているので、海上強風警報です。

⑥予報円の破線の近くに021200と書いてあります。これは国際標準時の2日12時(日本時間2日21時)であることを示しています。この天気図は国際標準時の1日12時(日本時間1日21時)なので、24時間後の予想位置を示しているといえます。

⑦気圧変化量を示している部分は、前3時間の気圧変化量を示しています。これは頻出問題です。

⑧-54となっていますので、気圧変化量は-5.4hPaです。

⑨那覇の現在天気記号は、並又は強のしゅう雨の記号です。これも覚えるしかありません。

積乱雲の記号です。上のほうが平らになっていて、かなとこ雲のようです。

⑪高層雲または乱層雲の記号です。

(2) 台風と衛星画像

引用元:気象業務支援センター

① 台風と赤外画像

引用元:気象業務支援センター
引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

赤外画像では雲頂高度が高いほど白く映ります。赤外画像からはおよそ台風の南東半円は、白く写っている部分が広がっており、北西半円では白い部分が少ないのがよくわかります。どちらも輪郭がはっきりとしているので対流雲ですが、南東半円のほうが雲頂高度が高く、発達していると言えます。これらを問題文の指示通りに北西側と南東側を比較してまとめると

南東側には発達した団塊状の対流雲が広く分布し、北西側には発達した対流雲は少ない。(40字)

② 水蒸気画像と台風

引用元:気象業務支援センター
引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

台風の北西側に暗域が見られます。水蒸気画像における暗域は、大気の中上層が乾燥していることを示しています。潜熱を動力源としている台風に乾燥空気が入り込めば、台風は衰退することになります。

よって答えは、台風の北西側の暗域となります。

(3) 前線の構造

引用元:気象業務支援センター

① 停滞前線と等温線および等相当温位線

引用元:気象業務支援センター

まず前線と等温線の関係についてです。

引用元:気象業務支援センター
引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

図1の停滞前線の位置を図5の天気図に重ね合わせると、赤線のようになります。あまり近い等温線はないのですが、図1は地上の前線の位置であり、850hPaの前線面の位置とはずれているはずです。前線面は、寒気の上に暖気が乗り上げる構造なので、上層に向かって寒気側に傾く構造となっています。

つまり850hPaの前線面は、地上の前線よりも北側に位置することになりますので、等温線を一つあげるとすれば15℃の等温線が正解となります。

次に等相当温位線との整合についてです。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

こちらも等温線と同様の考え方から339Kの等相当温位線が正解となります。前線が等相当温位線の南縁に位置するという理論とも整合しています。

② 大気の安定度

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引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

まず、絶対安定な気層の上端についてです。

絶対安定とは、気温減率が湿潤断熱減率より小さいことです。エマグラム上ではオレンジで示した湿潤断熱線よりも測定された気温のグラフが立っている範囲を探します。

地表から850hPaまでは、湿潤断熱線よりも、測定された気温のグラフが傾きが立っていますが、850hPaを境に、気温のグラフの傾きがゆるくなっています。

つまり地表から850hPaまでの気温減率が乾燥断熱減率より小さく、それより上層では、湿潤断熱減率より大きくなることを示しています。

よって、絶対安定な気層の上端は850hPaです。

次に850hPaの空気塊を持ち上げたときの自由対流高度についてです。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

850hPaからは乾燥断熱線に沿って気温が減少します。さらに上昇すると850hPaの露点温度をとおる等飽和混合比線と交わる点で凝結し、そこからは湿潤断熱線に沿って温度がさがります。この例だと820hPa付近で凝結が始まり、そこから湿潤断熱線に沿った温度下降になります。

持ち上げた空気塊は凝結が始まる高度では、周囲の空気よりも気温が低いですが、約730hPaで周囲の空気よりも持ち上げた空気塊のほうが気温が高くなります。

これは持ち上げた空気塊が湿潤断熱線に沿って気温が下降していますが、周囲の空気の方が上層に向かって気温が下がるのが早いためです。

持ち上げた空気塊が周囲の空気よりも気温が高くなると、周囲の空気よりも軽くなり、自然に上昇を始めます。これが自由対流高度です。よって自由対流高度は730hPaとなります。前後10hPaの誤差が認められています。

次に浮力のなくなる高度は、空気塊の温度と周囲の気温が再び一致し、同じ重さになる高度を探します。湿潤断熱線に沿って気温が下降した空気塊は、380hPa付近で周囲の気温と同じになり、浮力を失います。前後20hPaの誤差が認められています。

③ 前線への暖湿流

引用元:気象業務支援センター
引用元:気象業務支援センター

台風の北東側に広く雲頂高度が高い雲が分布しています。

引用元:気象業務支援センター(一部加筆)

①を踏まえると雲域は停滞前線の北側に位置しています。

また、相当温位や風向風速に具体的に触れるように指示があるため、詳しく見ていくと①より停滞前線は相当温位339Kに対応していました。

また、停滞前線に向かって25ノット~35ノット程度の南西風が吹き込んでいることがわかります。

つまり、暖湿な空気塊が停滞前線に向かって吹き込み、停滞前線にて上昇流となっていると判断できます。

また②からは、雲域の南西側である福岡の空気塊を持ち上げたときに、大気の下層で自由対流となり、上層まで上昇していくという不安定さがしめされています。

これらをまとめますと、

相当温位339K以上の暖湿な空気が、25~35ノットの南西風により停滞前線に向かって流入し、前線面で上昇したため。(57字)

台風と前線の位置関係から、前線に南側の暖湿流が流入し、前線付近では台風本体から離れていても強い雨となることがよくありますので、防災面においても注意しましょう。