(1) 台風の諸元
①②まず、台風の初期時刻から12時間後の移動についてです。初期時刻の位置は図1から読み取れます。

この位置を12時間後の予想図に落とし込むと下記のようになります。

初期時刻から12時間後の移動の方向は北北東であることがわかります。図の水平に対して45°ぐらいの角度なので北東と答えたくなりますが、東経120°の経線が斜めになっており、この向きが南北方向なので、台風の移動方向は北北東です。
移動の速さについては、地図上で18mmの移動です。北緯30°から40°の600海里の地図上の距離が40mmなので、実際の移動距離は、600海里×18mm/40mm=270海里となります。
270海里を12時間で移動する速さなので、270海里/12h=22.5ノットとなり、5ノット刻みでは25ノットか20ノットが正解です。
③④も同様に解きます。12時間後の台風の中心位置を24時間後の予想図に落とし込みます。

移動方向は北東です。
移動の速さは、地図上で12mmなので、600海里×12mm/40mm=180海里となります。
よって移動の速さは、180海里/12h=15ノットとなります。
(2) 大雨予想の解析
① 降水強度の解析
9日9時の時点で降水強度が最も強い地点を推測します。

9日9時の前12時間降水量の最大は山口県の北部あたりに141mmと予想されています。これは前12時間の降水量であり9日9時の降水強度を示しているものではありません。この山口県の北部あたりの地点は、9日9時よりも前の時間に降水強度が強かったのだと推測できます。(1)で台風が北北東に移動していることがわかりましたので、9日9時には降水強度の強い部分もすこし北北東に移動しているものと考えられます。よって、選択肢のなかでは山陰沖が適しています。
② 上昇流と降水強度
山陰沖で降水強度が強い理由についてです。順番にひとつずつ見ていきます。
ア 500hPaの寒冷渦の影響で大気が不安定になるため

確かに500hPaの予想図には山陰沖に低気圧があり、寒冷渦の影響があるように思えます。寒冷渦は上層のに寒気が流入し、大気の上層で低圧となるものの、地表付近では低気圧は不明瞭になるものです。この低気圧は台風の影響そのものであり、寒冷渦によって大気が不安定になっているわけではないので、不適当です。
イ 700hPaで強い上昇流となるため

山陰沖では700hPa面の上昇流の極大点が確認できます。上昇流が強ければ、空気塊は凝結し、雲が発達し、降水となります。よってこれは正しいです。
ウ 850hPaで風が収束するため

山陰沖の850hPaにて、南から東の風と、北東から北の風で収束帯が確認できます。この風の収束によって上昇流が強まり、降水強度が強くなっていると考えられますので、適当です。
エ 地形の影響を受けるため。
地形の影響を受けて降水強度が強まるのは、斜面に風が吹き付けて、空気塊が上昇する場合です。山陰沖は海なので該当しません。よって不適当です。
オ 台風の中心が位置するため

9日9時の台風の中心は山陰沖ではなく、陸上にありますし、台風の中心は一般的に下降流となっており、降水強度が弱いことが多いですので、不適当です。
よって答えはイとウです。
③ キキクルの適用
キキクルに関する問題です。
キキクルは下記の説明の通り、土砂キキクル、浸水キキクル、洪水キキクルの3つが運用されています。

土砂災害に対しては土砂キキクル、浸水害に対しては浸水キキクル、洪水災害に対しては洪水キキクルにて予想されています。危険度判定に使用している指数は、それぞれ、土壌雨量指数、表面雨量指数、流域雨量指数です。
しかし、洪水キキクルに関しては、下記のとおり、流域雨量指数に加えて表面雨量指数も危険度判定に利用されています。

よって答えは、
土砂災害:土壌雨量指数
浸水害:表面雨量指数
洪水災害:流域雨量指数、表面雨量指数
(3) 台風の温帯低気圧化
① 湿数と相当温位
まず、問題文の湿数6℃以上の領域について明らかにします。図9の湿数6℃の線を確認すると、この領域は、下記のくさび形に入り込んだ領域です。

まず700hPa鉛直流との対応関係についてです。この領域を700hPaの鉛直流の予想図と重ね合わせると下の図のようになります。

湿数6℃以上の領域は、網掛けがない、下降流の領域とおおよそ一致していますので、700hPa鉛直流との対応は、下降流域が正解です。
次に850hPa相当温位との関係です。

東北地方の西側と東側の海上にそれぞれ354と書かれた高相当温位域がありますが、湿数6℃の領域はそのあいだにくさび形に入り込み、相当温位の谷(相当温位の低い領域)となっています。もっと言えば九州の南側の低相当温位域が西風によって移流する領域でもあります。よって、850hPa相当温位との対応関係は、
相対的な低相当温位域(低相当温位の移流域)
そもそも湿数が大きいということは、乾燥しているということであり、相当温位が低くなることも推測できます。
② 乾燥空気の流入
それぞれの語句が示すものについて説明します。温暖コンベヤーベルトは、温暖前線に向かって低緯度から高緯度に吹く暖気の流れです。寒冷コンベヤーベルトは、温暖前線の北側を温暖前線とほぼ平行に吹く寒気の流れです。温暖前線では、温暖コンベヤーベルトが、寒冷コンベヤーベルトの上を滑昇する構造となっています。
乾燥貫入は、温帯低気圧の寒冷前線のおおよそ北西側から下降流によって流れ込む乾燥空気です。温帯低気圧化している台風の後面から流れ込む乾燥空気なので、ウの乾燥貫入が正解です。
③ 前線の作図
850hPaの相当温位図をもとに前線を解析します。
温暖前線は風速のシアーと等相当温位線集中帯の南縁を通すようにして、寒冷前線についても等相当温位線集中帯の南縁に沿って書きます。
これらは東北沖で交わりますので、ここを閉塞点として、低気圧中心まで閉塞前線として書きますと以下のようになります。

気圧の谷を通すように補正すると下記のようになります。

④ 強風域の変化
12時間後と24時間後の低気圧の付近の強風の範囲を比較します。


強風と言えば、一般的に風速15m/s以上で、30ノット程度以上です。24時間後は12時間後と比べて、低気圧の北側の強風の範囲が広くなっています。また、その原因となる気圧の分布ですが、風速を強める気圧分布の変化は、気圧傾度が大きくなる変化ということになります。予想図からも低気圧の北側の等圧線の間隔が狭くなっており、気圧傾度が急になっていることがわかります。よって、
閉塞前線の北側で気圧傾度が急になり、地上低気圧の中心の北東側に強風の範囲が広がる。(41字)
閉塞前線の北側でという解答を出すのはなかなか難しいと思います。











