11-3 予報業務の許可【気象予報士試験法規対策】

気象予報士試験の学科一般(気象業務法)で、ほぼ毎回といっていいほど出題されるのが「予報業務の許可」に関する規定です。

せっかく気象予報士の資格を取っても、勝手に自分で天気予報をビジネスとして始めてはいけません。誤った予報が世の中に流れると、社会的な混乱を招く恐れがあるため、法律で厳格なルールが定められています。

試験では、「どんなケースで許可が必要になるのか」「気象予報士を何人置かなければならないのか」といった具体的な数字や条件がひっかけ問題として狙われます。この記事でポイントを完璧に整理していきましょう!

1. 予報業務の許可とは(第17条)

まずは基本となる第17条の規定です。気象庁以外の者が天気予報を行う場合の原則ルールが定められています。

第17条(予報業務の許可)

気象庁以外の者が、気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならない。

【試験のポイント】「許可が必要なケース」の判断基準

試験で最も狙われるのが、「これは許可が必要な『業務』にあたるかどうか」を答えさせる事例問題です。法律上の「業務」の定義を正しく理解しておきましょう。

  • ポイントは「反復・継続」しているかどうか法律が言う「業務」とは、同じことを繰り返し、続けて行うことを指します。
  • 有償・無償(お金のやり取り)は関係ない「ボランティアで無料で配るから許可はいらない」というのは間違いです。お金をもらっていなくても、繰り返し行うのであれば許可が必要になります。

具体的な事例でチェック!

  • 許可が【不要】なケース(×)
    • 運動会の実行委員が、当日の開催判断のために独自に天気を予想する。→ 一回限りのイベントであり、身内だけの利用にとどまるため「業務」にはあたりません。
    • 自分で観測した「現在の気温や雨量(実況)」をSNSで毎日発信する。→ 許可が必要なのは未来を予測する「予報」です。「実況の提供」だけであれば許可は不要です。
  • 許可が【必要】なケース(◯)
    • 毎朝、近隣住民に向けて、趣味で作成した地域の天気予報を無料で配布する。→ 無料であっても「反復・継続」して不特定多数に提供しているため、許可が必要です。
    • 特定の契約企業(建設会社など)に向けて、有料でピンポイントの気象予測を毎営業日配信する。→ ビジネス(有償)かつ反復継続しているため、当然許可が必要です。

2. 予報業務許可の4つの基準(第18条)|人・物・情報の要件

気象庁長官に許可を申請しても、誰でも簡単にパスできるわけではありません。第18条では、予報を適切に行うための「4つの基準」が定められています。

区分基準の内容試験対策キーワード
1. データ収集気象庁の防災気象情報や、各地の観測データを適切に受け取ることができる施設・設備があること。受信設備
2. 解析能力集めた予報資料を分析し、独自の予報を作成できる施設・設備(PCや解析ソフトなど)があること。解析設備
3. 人材(予報士)予報業務を行う事業所ごとに、気象予報士を配置すること。気象予報士の設置
4. 欠格事由過去に許可を取り消されてから2年が経過していない者や、破産者で復権を得ない者でないこと。欠格事由

【受験生の盲点】「個人」でも許可は取れる?

試験の選択肢でよく「予報業務の許可を受けられるのは法人(会社)に限られる」というひっかけが出ますが、これは間違いです。

上記の4つの基準(設備や予報士の確保など)さえすべて満たしていれば、個人であっても許可を取得することは可能です。


3. 気象予報士の設置義務と役割(第19条の2・3)

許可基準の3つ目にある「気象予報士の設置」について、さらに一歩踏み込んだルールです。ここは法規の中で最も出題されやすい、超重要パートです。

3.1 予報士を「何人」置くべきか?(人数のルール)

事業所には、ただ予報士が1人いればいいというわけではありません。予報業務を行う「1日の時間帯」に応じて、必要な人数をカバーしなければなりません。

  • 8時間以下の実施:2人以上
  • 8時間を超え16時間以下の実施:3人以上
  • 16時間を超える(24時間体制など)実施:4人以上

深夜も含めて24時間予報を出し続けるような事業所では、シフトを組んで常に誰かが対応できるように、最低でも4人の予報士が必要になります。

3.2 気象予報士の「独占業務」の範囲

試験では、「この作業は気象予報士がやらなければならないか、誰でもいいか」という境界線が問われます。

  • 予報士が必ずやるべきこと(独占業務)
    • 「現象の予想」各種データを解析し、「明日は雨が降る」「気温は25度になる」といった未来の天気を判断・決定する行為は、必ず気象予報士に行わせなければなりません。
  • 予報士でなくても構わないこと(誰でもできる業務)
    • 観測データやグラフの収集・整理
    • 出来上がった予報をユーザーに伝える、またはテレビで読み上げる(お天気キャスターやアナウンサーが予報士の資格を持っていなくても法的に問題ないのはこのためです)
    • 天気の仕組みについての一般的な「解説」や、予報文の朗読

4. 変更の「認可」と「届出」の違い(第19条・20条)

一度許可をもらった後、その内容を変更したり事業をやめたりする場合の手続きです。

「あらかじめ認可をもらう(事前)」のか、「変わった後に報告する(事後)」のか、その違いと理由をセットで覚えましょう。

変更内容手続きの種類提出の時期なぜその手続きなのか?(理由)
目的(一般向けか特定向けか)
範囲(予報するエリアや現象)
変更の認可あらかじめ(事前)予報業務の根幹に関わる部分であり、気象庁による再審査が必要だから。
氏名・名称・住所
法人の役員の氏名
変更の届出変更後30日以内(事後)事務的な手続きの変更に過ぎず、予報の質には直接影響しないから。
事業の廃止廃止の届出廃止後30日以内(事後)事業をやめる手続きなので、事後の報告で十分だから。

5. 業務改善命令と許可の取消し(第20条の2・21条)

ルールを守らない事業者に対して、気象庁長官は厳しい処分を下すことができます。段階に応じた処分の違いを押さえましょう。

  1. 業務改善命令「予報士の人数が足りなくなっている」「設備が壊れたまま放置されている」など、許可の基準を満たさなくなった場合、まずは「ちゃんと直しなさい」という改善命令が出されます。
  2. 業務停止命令・許可の取消し以下のような悪質な違反があった場合、業務をストップさせられたり、許可そのものを剥奪(取消し)されたりします。
    • 改善命令が出たのに、従わなかったとき
    • 気象予報士ではない者に「現象の予想」を行わせていたとき
    • 独自の「警報」を発表したとき

【重要】民間事業者の絶対禁止事項

どれだけ大雨や暴風の危険が迫っていると独自に分析できても、民間事業者が「〇〇警報」「〇〇注意報」という名称を使って予報を発表することは絶対にできません。これらは気象庁の完全な独占権限です。

ただし、「暴風が吹き荒れる恐れがあります」といった具体的な表現で危険を呼びかけること自体は可能です(名称を使わなければOK)。また、許可事業者は「気象庁の出した警報・注意報を利用者に迅速に伝える義務」を負っていることも合わせて覚えておきましょう。


まとめ:試験対策チェックリスト

試験直前に、以下のポイントに脳内で「〇」をつけられるか確認してください。

  1. お金の有無は関係ない: 無料でも反復継続すれば「業務」となり、気象庁長官の許可が必要。
  2. 個人でもOK: 予報業務の許可は法人限定ではなく、個人でも取得可能。
  3. 地震・火山の予報: これらは許可の対象外。民間が勝手に地震の予報業務を行うことは原則できません(気象庁の独占)。
  4. 予報士の仕事は「予想」: データを分析して天気を決めるのが予報士の仕事。テレビで喋ったり解説したりするのは誰でも良い。
  5. 目的・範囲の変更: 予報の「中身」が変わるときは、事前の「認可」が必要。