まず、前線を解析するにあたって、この低気圧の前線が閉塞しているかどうかを確認します。
学科の知識ですが、地上低気圧中心が500hPa強風軸より北側に位置するとき、その低気圧は閉塞しており、強風軸の付近が閉塞点となるのが教科書的な構造です。

図12上より、渦度0ラインを強風軸とすると、地上低気圧中心は強風軸の北側に位置しますので、閉塞前線を伴うことがわかります。
850hPaの予想図からは、下記のように前線を解析できます。

まず、閉塞前線は強風軸の交点まで書きます。温暖前線は9℃~15℃の等温線が集中しているのでその集中帯の南縁に沿う形となります。寒冷前線は12℃から15℃の等温線が集中していますが、上昇流域が帯状に伸びていますのでそれに沿う形となります。
また、寒冷前線後面にWがあるなど寒冷前線後面の寒気は、温暖前線の全面の寒気よりも弱いことがわかります。よって、閉塞前線は、寒冷前線が温暖前線の上に乗り上げる形である温暖型閉塞前線となります(寒冷前線よりも温暖前線が強いので閉塞前線が温暖前線に沿う形)。そのため、閉塞点では閉塞前線と温暖前線から寒冷前線が分岐する形(入の形)となります。
これらを地上予想図の気圧の谷の位置に微修正し、風向のシアーと矛盾がないように作図すると下記のようになります。
